脱力トレーニング 合気上げの研究2

脱力トレーニング 合気上げの研究2 

前々回の記事、

「脱力トレーニング 合気上げの研究」

では、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋の脱力による、

肩甲骨を外下方への落下を初動とするやり方について書きました。

落下した肩甲骨が肘の下へと滑ることで、

腕に掛かる相手の重さを肩甲骨で支えられます。

その関係性を変えることなく広背筋を脱力によって広げ、

肩甲骨が前に滑ることで掴まれた腕を挙げるというものです。

このやり方は腕の使い方を変えるという意味では、

効果的なトレーニングだと考えています。

繰り返し行うことで、

肩に負担の掛かりにくい動き方が身に付きます。

ただ、もちろんこれで完成というわけではありません。

そこで今回は第2弾ということで、

座った状態から腕を挙げる方法を研究してみました。

 

 

一般的な合気上げと呼ばれるものとの大きな違いは、

腕を挙げる側が相手の手首を掴んでいる点です。

これには手首の回転運動を使えるというメリットと、

手が力みやすいというデメリットの両方があります。

ただ実際に腕を挙げる動作においては、

手首を掴まれるよりも何かを持っていることが多いので、

今回は掴む形を採用しました。

 

動画にもキャプションを挿入していますが、

今回の一番のポイントは、

「重心に働く重力を感じながら腕を挙げる」

点にあります。

 

それによる効果は2つの側面から説明できます。

1点目は、身体に働く力を集約する効果です。

人の身体はいくつものパーツから成り立っていて、

それぞれに重力と抗力が働いています。

そして普通に身体を動かす場合、

それぞれが各個でバラバラに重さを支えています。

しかし重心の1点で落下ベクトルを感じることで、

地面から返ってくる抗力も1方向へと集約されます。

その集約された抗力を使って腕を挙げれば、

普段よりも強い力を出せるのです。

 

2点目は、思考モードから感覚モードへの変化です。

人の身体は面白いもので、

意識を向ける対象が変わると、

身体の状態も大きく変わってしまうのです。

動画のようなシチュエーションにおいては普通、

「どうやって相手を動かそうか」

と頭で考えてしまいます。

実はこの時点ですでに思考モードに入っており、

意識の対象が現実ではなく自分の思考に向いているのです。

しかし重心に働く重力は、

実際に身体に働く現実の力です。

そこに意識を集中させることで、

思考モードから感覚モードへと身体が変わります。

自分の思考ではなく、

現実の力に対応するための身体状況になることで、

普段よりも大きな力を発揮できるのです。

 

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