脱力トレーニング 足首を掴まれて歩く

 

スポーツでも他のことでも同じだと思うけど、

何かを本気で学ぼうと思ったら、

教わってる時間以外の取り組み方について、

ちゃんと考えないとね。

教わってる時間なんて、

生活時間の何十分の一かじゃない。

学んだことを生活の中にどう取り入れるか。

当たり前って言われるだろうけど、

それが上達のカギだと思う。

 

 

例えば脱力トレーニング。

いくらトレーニング中に力を抜いていても、

普段の生活で緩もうとしなければ、

成果はなかなか出てこない。

反面、ただ緩もうとするだけなら、

いつだってどこだって誰だって出来る。

 

 

動画は足首を掴まれて歩く練習。

途中引っかかって上手く足が出ないように、

結構難しいトレーニングじゃないかと思う。

足までしっかりと重みが通ってないと、

最初の一歩さえ出せない。

 

師範からよく言われるのが、

「ほとんどの芸事には歩く練習がある」

ということ。

二本足で立って移動するのは、

それだけ高度で難しい運動なんだ。

 

だけど、多くの人は普段歩いている。

難しい運動だけどとりあえずの形にはなってる。

だからやろうと思えば、

毎日トレーニングは出来る。

あとは、やるかやらないか。

才能があるかないかなんて、

それをやってからの話だよね。

 

 

脱力トレーニング 下腿を固定して動く

 

カラダをうまく使える人と、

そうじゃない人の違い。

特に外から見たときの違いは、

姿勢や動きから伝わる情報量の差として感じられる。

それは例えるならファミコンとプレステの違い。

ファミコンはドットが粗くてカクカク動くけど、

プレステは精細で滑らかに動く。

 

 

外から見た情報量の差は、

そのままカラダに対する意識量の差と言える。

自分のカラダをどれだけ正確に、

現実に近い形で意識できているか。

偏りなく。

途切れなく。

 

 

動画はパントマイム練習の脚版。

下腿を動かさないようにカラダを動かしている。

ほとんどの人は、脚への意識が圧倒的に薄い。

普段歩いている人を何気なく見ても、

正直脚がスカスカに見える。

偉そうに書いてる私自身、

サッカーをしていたのが嘘みたいに、

脚への意識が薄かった。

これじゃあ膝を痛めるのも仕方ない。

 

脚へ意識を向けるトレーニングにも、

このパントマイム練習は役に立つ。

特に下腿を固定することで、

中心から動くことと、

股関節を大きく使うことを覚えられる。

すると見ての通り脚に力が正しく伝わり、

バランスを崩しにくいカラダになる。

ぜひ、やってみてほしい。

 

脱力トレーニング 前腕を固定して動く

 

脱力トレーニングは、

自然の法則に適応するためのトレーニング。

ありのままの自分でいるためのトレーニング。

それは残念だけど、

「そのままの自分で良いんだよ」

という意味じゃない。

 

 

これはホントに不思議なことだけど、

普通に生きてるとなぜか、

自然の法則から離れていってしまう。

私を含めてみんなそう。

そうやって離れていくことを、

人間らしさだと思ってさえいる。

ということは、

普通やってしまうことの逆をやれば、

自然の法則に近づくことがある。

 

 

動画では、身体の横方向に、

奥側の手で力を伝えている。

例によって筋力では力を入れにくい形なので、

最初はうまく押せない。

すると普通は、

「どこをどう動かせばうまく押せるか」

を考えるよね。

その発想を逆転させてみる。

「どこを動かさなければうまく押せるか」

 

今回の場合、

前腕を動かさない形でやってみた。

パントマイムみたいな感じに。

前腕の位置を固定してなおかつ動くためには、

肩と肘の関節を自由に回転させなくてはいけない。

どちらか片方でもうまく回らないと、

身体の動きが伝わってしまう。

これがうまくできるということは、

肩と肘が脱力できてるといえる。

 

このパントマイムのもう一つの効果は、

動かす順番を変える点にある。

普通、腕から力を出そうとすると、

どうしても腕を最初に動かしてしまう。

前腕を固定する意識を持つことで、

体幹や脚の動きが腕に伝わって動く感覚を、

身に付けることができる。

 

 

 

脱力トレーニング 中心から脚を揺らす

 

カラダの力を抜けないのは、

力を抜くと弱くなると思ってるから。

弱くなる脱力しか知らないから。

自分の中心を自覚出来れば、

頑張らなくてもカラダは強い。

 

 

だから、

力を抜く練習と筋力に代わる力を感じる練習は、

基本的にセットでやる。

筋力を抜かないと筋力以外の力は感じられないし、

それを感じないことには脱力は進まない。

 

 

動画はカラダの中心を揺らすことで、

脚から相手に力を伝えている。

脚力で相手を動かそうとしても、

両足を抱えられた状態では、

まともに力が入らない。

ところがカラダの中心を感じて、

足裏まで伝わるように中心を揺らせれば、

相手の予想を大きく上回る力が伝わる。

 

こういう形で相手を動かせることに、

意味があるわけじゃない。

中心を感じて脱力すれば、

今の自分では信じられない力が出る。

そのことを体験して納得することで、

自分のカラダを信じられるようになる。

頑張らなくて良いと、

本気で思えるようになる。

そこに脱力トレーニングの意味があると思う。

 

 

脱力トレーニングで身につけるもの

 

修練生から重要な疑問を聞いたので、

現時点での回答をここに書くことで、

脱力修練についての基本的な考え方を共有したい。

 

 

疑問「脱力修練に来るようになって数年、

色々な形や切り口で修練をしてきた。

もちろん散発的な参加だからという理由もあるが、

それぞれの形や切り口の関係性や優先順位を、

自分の中で整理出来ずにいる。

様々な修練をどう整理すればいいのだろうか?」

 

この疑問は、自分の経験上もとてもよく分かるし、

「どんなことやってるの?」

と訊かれたときに答えにくい理由でもある。

 

例えば武道であれば、

剣道、柔道、空手、合気道。

それぞれ流派は様々あっても、

基本的なルールや枠組みがあって、

その中での技術体系を学んでいく。

これはスポーツに置き換えても同じ。

 

ただ、武颯塾で学んでいる脱力修練は、

こういうものではない。

では一体何を学んでいるかというと、

私たちのレベルにおいては、

「重力を筋力に代わる力の発生源として使える」

ことを目指して学んでいる。

そしてそのためにはまず、

「全体重を自分の力としてコントロールする感覚」

を身につける必要がある。

 

重力は物理法則に則って働くので、

当たり前だけど客観的に存在する力。

重力を力として使うためには、

物理法則に素直に従って動けばいい。

だけど人がカラダを扱う感覚は、

その人だけが感じる極めて主観的なもの。

その主観的な感覚自体が物理法則とズレているから、

重力を自分の力として使えていない。

 

脱力修練で伝えたいのは、

重力という客観的かつ普遍的な力を扱うための、

感覚という極めて主観的なもの。

それは極めて主観的なだけに、

直接伝えることができない。

出来ることは様々な形や切り口で、

指導する側の感覚を相手に再現させてあげること。

もちろん全く同じものを再現することも、

それを確認することも出来ない。

ただ、その再現度や確率が上がるように、

形や切り口を工夫するだけ。

 

つまり重要なのは、

より物理法則通りに動けたときの感覚であって、

形や切り口そのものではない。

極端な話、

修練の形や切り口に関係性や優先順位も必要ない。

どんな感覚でどこにどれだけの力が働いたのか。

客観的に働いた力と、主観的に感じた感覚。

これらをつなげていくことが、

私たちのレベルにおける脱力修練だと今は思う。

 

以上が冒頭の疑問への私なりの回答。

ちなみに話をしてくれた修練生は、

修練会開催当初から数年の付き合いがあり、

今回、ビジネス上の必要性を含めて問題提起してくれた。

いつもありがたく思っています。

 

脱力トレーニング 股関節の開閉運動

 

重心移動には股関節の脱力が大切だってことは、

何度か書いてきた。

ただ多くの場合は、

そもそも股関節自体を動かす感覚が無い。

そこで今回は、

股関節が動く感覚を身に付けるトレーニングを紹介。

 

 

股関節は骨盤と大腿骨とが連結している関節。

つまり股関節を動かすとは、

骨盤と大腿骨の距離や角度を変えること。

 

 

動画では骨盤を脚に近づけ、

そこから股関節を開くことで、

脚を骨盤から遠ざけている。

こうやって股関節を大きく開閉させて、

動かす感覚を身に付けていく。

 

股関節を動かす感覚が取れて来た人は、

力が伝わる感覚に意識を向けよう。

骨盤を脚に近づけた時、

そこから股関節を開いた時。

力がどこに、どんな方向で加わっているかを感じ取る。

それがハッキリするほどに、

脱力への確信は深まっていく。

 

 

脱力トレーニング 重心移動 単推手

 

重心のコントロールは、

スポーツの上手下手を分ける大きな要素の一つ。

今回は太極拳の推手の形を使って、

重心移動について書こうと思う。

 

 

重心移動のトレーニングをする時、

大切にしてほしいのは動く順序。

普通の人はきっと、

脚を動かすことで重心移動をする。

歩いたり走ったりする時に、

足で地面を蹴っている。

ウォーキングやジョギングの本にも、

「しっかりと地面を蹴りましょう」

なんて書いてあるものがあるし。

ただ脱力トレーニングではその逆をやる。

重心が最初に動くことで脚が動く。

結果として足は地面を押すのだけど、

この順序を逆転させるところが、

重心移動のトレーニングの最重要ポイント。

 

 

動画で注目してほしいのは、

上半身が前後左右に傾いていないこと。

足で地面を蹴って動く場合、

準備として上半身を傾けてしまう。

人によっては頭から動くことを、

重心移動だと勘違いしていたりする。

これだとどうしても動き出しが遅くなる上に、

重心移動を力として使うことができない。

腹背や股関節といった、

出来るだけ重心に近い部分の脱力で、

重心の支えを行きたい方向に外す。

そうすることで、

自分の体重は運ぶべき荷物じゃなく、

推進力の源として使えるようになる。

 

 

脱力トレーニング 中心感覚で腕を伸ばす

 

膝の曲がりが悪い人を治療して感じるのは、

曲がらないのは膝だけじゃないってこと。

カラダは本来、全てがつながっている。

だから指先が動くだけでも、

変化は全身に及んでいるはずなんだ。

なのになぜか、膝だけを曲げようとする。

股関節や背骨に伝わるはずの動きをさせないまま。

だからまずは、正しいカラダの連動性を取り戻す。

部分だけを見ていても、

カラダの問題は解決しない。

 

 

カラダの連動性が損なわれているのは、

膝の曲がりが悪い人に限った話じゃなく、

多くの人を見ていて感じる。

それを特に強く感じるのが、

腹背や股関節といったカラダの中心部。

みんな、中心をサボらせたまま、

カラダを動かそうとしている。

 

 

動画では、

カラダの中心から動いた力で腕を伸ばしている。

違う言い方をすれば、

全身の連動を腕に伝えている。

この連動性を感じて使えるようになるために、

まずは相手に腕を曲げてもらう。

この時の相手の力や動きを、

腕じゃなくて中心を動かされるように変換する。

相手は腕を曲げようとしているにもかかわらず、

自分はお腹や腰回りが動かされるように、

自分で中心をコントロールする。

これが上手くできるようになると、

逆にお腹や腰を動かすことで、

腕から相手までを動かせるようになる。

 

連動という言葉を使うことで勘違いしやすいのが、

順番に筋力を使ってしまうパターン。

脚、腰、背中、肩、腕と時間差で力を入れることで、

連動性を作ろうとしてしまう。

脱力トレーニングで目指すのはそうじゃなく、

中心が動いた結果として腕や脚が自然と動く状態。

いくつものスイッチを順番に操作するのではなく、

一つのスイッチで全身が連動するカラダ。

それはすなわち、故障の起きにくいカラダでもある。

 

というわけで、

カラダの不調に悩む人もスポーツが上手くなりたい人も、

脱力トレーニングで中心感覚と連動性を手に入れよう‼︎

 

 

脱力トレーニング 流体重み伝達 腕

 

facebookにも書いたけど、

治療に伺った先で頂いたお菓子にビックリした。

クッキーの個包装がハンパない。

一つずつ袋に入れた上に、

プラスチックケースでも個包装。

で、特筆すべきポイントのない味。

とにかく見た目だけで売ろうとする意図に、

正直ウンザリする。

その反面、見た目をアピールしないと、

味わってさえもらえないのも事実だよね。

 

 

脱力トレーニングに限らず、

トレーニングというのは基本、

地道な作業の繰り返し。

その一見単調に見える作業の中に、

新しい感覚の手がかりを自分で探し出す。

どんな派手に見える技も、

身につける過程は地味なもの。

 

 

動画は、カラダの重みを腕に集めて、

両手で腕を掴んでいる相手を下に崩している。

見て欲しいポイントは、

最初に何か言いながらお腹や腰を揺らしているところ。

掴まれた腕を筋力では動かさずに、

お腹や腰を脱力して揺らすことで、

結果として腕を動かしている。

 

脱力トレーニングにおける重要な感覚の一つ、

流体感覚。

人のカラダの6割〜7割は水分で出来ている。

カラダを流体として扱うことが、

本来の機能を発揮するための必要条件。

そしてカラダは力むほどに固体に近づき、

緩むほどに流体に近づく。

だからまずは、徹底的に脱力。

地味に。

地道に。

 

腕の筋力を使ってないのに腕から力が出る。

たったこれだけのことが、

脱力トレーニングの面白さの根っこだと思う。

今までの力を入れた感覚がほとんどないのに、

結果としては大きな力を使っているギャップ感。

でもこの面白さは、

残念ながら見た目じゃ伝わらない。

普及のための試行錯誤はまだまだ続きそうだなぁ。

 

 

脱力トレーニング 下半身を緩めて動かす

 

治療に行くと、膝に痛みを抱えている人は本当に多い。

自分自身、中学生の頃から膝に水が溜まることもあり、

さらには前十字靭帯が完全に切れてしまってたりと、

膝の不調については実感をもって分かる。

 

 

ただ現状、特に不都合は無い。

脱力トレーニングはもちろん、

修練生に卓球を教えてもらっても。

それは、脚を脱力して使うことを覚えたから。

膝の曲げ伸ばし感覚で体重を支えていないから。

 

 

動画は下半身を脱力して動かしている。

ここまで腰を落として動く場合、

膝の曲げ伸ばし感覚で体重を支えていると、

太腿がキツくて動けない。

膝の曲げ伸ばし感覚=大腿四頭筋の筋力。

膝の角度が90度よりも深くなると、

大腿四頭筋の筋力は途端に使いづらくなるから。

 

そこで、脚の使い方を逆転させる。

膝の曲げ伸ばし感覚で体重をコントロールせずに、

重心の移動と腹背や股関節の脱力で、

脚をコントロールする。

そうすることで、

膝や太腿にかかる負担は格段に減る。

動画のように腰を落としても、

楽に動けるようになる。

 

もちろん、

ここまでの動きを膝の悪い人がする必要はない。

ただ、脚の使い方を逆転させることが、

症状の改善につながる。

そのための最初の一歩は、

お腹を揺らした波を足裏に伝える練習。

ぜひ、取り組んでみてほしい。