脱力トレーニング 人体模型を用いた骨格から立つことを考える

脱力トレーニング 人体模型を用いた骨格から立つことを考える 

RESETSTYLEでの脱力トレーニングに参加した人や、

動画を見てくれた人は知っていると思いますが、

私の部屋には一体の人体模型があります。

 

 

模型も壁も白ベースなので若干見づらいですがご容赦を。

この人体模型を眺めながら身体を動かしていて、

ふと気づいたことがあります。

 

「脚、ぶら下がってるな」

 

「腰、細いな」

 

見たまんま言っただけですね。

しかしただこれだけのことが、

「二本の脚で立つ」ことへの理解を随分と深めてくれました。

 

先日どこかのニュースで二足歩行のロボットが、

大きな段差を軽々とジャンプして上っていく映像を見ました。

残念ながら動画は見つかりませんでしたが。。

もし機会があれば、

どのような考え方で片足時の重心をコントロールしているのか、

伺ってみたいものです。

なぜならこの重心のコントロール方法こそが、

物体の運動制御の核心部分だからです。

 

人や今回例に挙げたロボットは二本の脚で立ちます。

物体が安定して静止するためには3点での支持が必要なので、

これは非常に不安定な立ち方だと言えます。

もちろん足裏は実際には点ではないので、

なので直立二足歩行=2点支持と単純には言えません。

しかし四足の動物と比較すると、

静止状態においてはやはり不安定だと言えます。

 

そこで一般的には足腰を固めて安定性を確保します。

脚の上に腰が乗り、その上に胸、頭と積み重ねる。

いわば積み木のような構造です。

なので土台となる脚や腰は出来るだけ固く動かない方がいい。

確かにこの方法だと、

重心のコントロールに労力をかける必要がありません。

脳が「倒れない」ための処理から解放され、

他の作業に意識を割り振ることが出来ます。

これはこれで一つのメリットだと言えるでしょう。

しかし足腰は常に緊張状態を必要とします。

そしてその緊張と弛緩の処理さえも手放した結果、

足腰が固まったままどう緩めていいかも分からなくなります。

その結果が血行不良による膝や腰の痛みにつながるわけです。

一般的な意味ではこの部分がデメリットであり、

だから意識的に足腰を緩める運動をしましょうとも言えますが、

今回の本題はこれからです。

 

静止状態での安定性確保を、

「コントロールの労力を最小限にすることを優先」

した結果が足腰を常時緊張させるという選択です。

しかし運動という側面から、

足腰の使い方を考えるとどうでしょうか。

 

運動とはつまり、

「重心の位置や角度を変える」

ことです。

人の重心はおおむね腰のあたりにあります。

ということは腰周りの位置や角度を自由に変えられること、

その自由度の高さこそが、

「運動の上手さ」

だと言えるでしょう。

したがって運動が上手くなるためには、

足腰の位置や角度を自由に変えられるようになる、

つまり足腰を柔らかく扱える必要があるわけです。

 

これは困ったことになりました。

条件付きとはいえ静止状態での安定性の確保には、

「足腰の常時緊張」が必要であり、

運動が上手くなるためには、

「足腰の柔軟なコントロール」が必須なのです。

あちらを立てればこちらが立たず。

明らかに矛盾しています。

しかし上に書いたように、

静止状態での安定性確保に足腰の常時緊張が必要な理由は、

「コントロールの労力を最小限にする」

という条件があったからです。

つまりこの条件さえ外してしまえばいい。

「重心のコントロールに労力をかける」

ことを受け入れれば、

「足腰の柔軟なコントロール」

こそが、

静止状態と運動状態のいずれにおいても最適な選択になるのです。

 

では「足腰の柔軟なコントロール」とは、

一体どのようなものでしょうか。

そのヒントが冒頭に書いた、

「ぶら下がっている脚」「細い腰」なのです。

 

 

この模型の股関節部分をよく見てもらうと、

二つの丸い球からそれぞれ紐のようなものが出ています。

実はこの紐はゴムで、

これを両方から引っ張ることで骨盤と脚をつないでいます。

なのでこの部分はグラグラです。

さて、この状態の骨格模型を持ち上げるとしましょう。

写真の部分(手、腕は除く)で考えてみた時に、

 

1.二本の脚を片手ずつ掴んで持ち上げる

2.腰椎(骨盤の上の背骨)を両手で掴んで持ち上げる

 

の内、どちらが簡単でしょうか?

もちろん実際には様々な条件がありますが、

骨格それ自体の重さでちぎれてしまうことが無い限り、

2.の方が簡単にバランスが取れます。

もし仮に股関節の所が完全にロックして動かなければ、

1.の方が安心するかもしれません。

そう、これは足腰を常時緊張させる、

一般的な安定性の確保のやり方ですね。

しかし柔らかく常に形が変わる足腰をコントロールするためには、

足で腰をコントロールするのではなく、

「腰で足をコントロールする」しかないのです。

この感覚を言葉にすると、

 

「肋骨から骨盤がぶら下がっている」

「骨盤から脚がぶら下がっている」

 

となり、動くときには

 

「腰で脚を振る」

 

となります。

この感覚が馴染んでくると、

「立つ」ことの意味が大きく変わります。

ロボットのところで書いたように、

ここが重力下における運動制御の核心部分です。

普通の感覚で言えば土台であるはずの足腰を、

ぶら下がっている振り子として扱う。

立ち止まっている時も、

片足立ちで体重がかかっている側も。

 

興味があれば試してみて下さい。

 

P.S.

RESETSTYLEでは、
脱力を基本とする武術的身体トレーニングを行っています。

一般的な武道においてイメージされるような、
先輩後輩の上下関係は一切ありません。

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