前回に引き続き、
「自我」と「力み」の関係について考えていきます。
少し振り返っておきますと、
「『自我』とは『思考』『感情』『感覚』が相互に影響し合って生まれたもの」
だと現時点では考えます。
ここで注意してほしいところは、
「思考」や「感情」は知覚された「情報」についての「反応」であることです。
それはつまり、
「思考」や「感情」だけでは『自我』は成立しえないということ。
なぜならあまりに多くの「情報(広い意味での)」が、
ただ生きているだけで知覚されるから。
仮に「思考」や「感情」だけが『自我』だとするとどうなるでしょう?
言うこと為すことがめまぐるしく変わりすぎて、
「私が私である」と言える根拠が形づくられません。
そこで、「感覚」の出番なのです。
「思考」や「感情」がある種の「感覚」とリンクすることで、
まとまったものとして定着しやすくなる。
そこではじめて、
「私が私である」と言える根拠になるのです。
ところが、
先ほども言ったように「情報」があまりにも多いため、
普通の「五感」とリンクするだけでは、
「思考」や「感情」は根拠と言えるほどには定着しないのです。
ずっと同じものを観ているわけでも、
同じものを聴いているわけでもないのですから。
では、外部からの「感覚」ではなく、
自分で作り出せる内部からの「感覚」とリンクさせるとどうでしょう?
こうすると、
時と場所を選ばず感じることができるようになります。
「私が私である」と。
これは便利だと思いませんか?
外部からの情報によって影響される「移ろいやすい自分」ではなく、
自分で自分を定義できる「確固たる自分」になれるわけです。
そんな素晴らしい魔法の「感覚」(と思ってしまうもの)こそが、
「力みによる実感」
なのです。
(以下、次回へ)
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