いつも長い文章を読んでくれて、
本当にありがとう。
今日は、
「ヘルニアとカビの共通点」
について書きます。
一週間くらい前でしょうか、
ある人がギックリ腰になったと聞きました。
病院でMRI検査をすると、
「腰椎椎間板ヘルニア」
だと言われたそうです。
その人がヘルニアと聞いてどう思ったかは分かりませんが、
普通は多分、こう思うのではないでしょうか。
「そうか、ヘルニアだから痛いのか」と。
確かに教科書的には、
「椎間板ヘルニアによる神経根圧迫により痛みが生じる」
とかいてあります。
「神経が押さえつけられているから痛い」
イメージ的には確かに分かりやすい気がする。
でも一方で、ウィキペディアの神経根(後根)の説明には、
このような一文があります。
「脊髄神経の後根が障害されると、体の一部分の体性感覚が麻痺する。」
「痛み」と「麻痺」。
「ヘルニア」が原因で起こりうるとしたら、
本来は「痛み」ではなく「麻痺」のはずなのです。
これは似ているように感じるかもしれませんが、
「全然違います」。
なぜかというと、
「痛み」は「神経機能が正常に働いた結果」であり、
「麻痺」は「神経機能が障害された結果」だからです。
少し面倒くさく感じるかもしれませんが、
神経の仕組みについて簡単に説明します。
まずは下の画像を見てください。
(クリックすると拡大されます)
一般的な神経の構造はこのようなものです。
神経には
「遠心性(運動神経)」
「求心性(感覚神経)」
の2種類があって、
それぞれで情報伝達の「方向」が逆になります。
ここでは「痛み」と「(感覚)麻痺」について説明したいので、
「感覚神経」について書いていきます。
神経はたとえるなら電化製品のコードのようなものです。
コンセントからプラグを通して電気が伝わり、
製品が動くというわけです。
感覚神経も基本的には同じ仕組みです。
感覚神経は、図の「神経終末」のところが、
様々な刺激を受け取る「受容器」になっています。
この「受容器」は様々な種類のものがあり、
それぞれその目的に応じた刺激にしか反応しません。
物理的な刺激、熱による刺激、
化学物質による刺激、刺激の早いものや遅いもの。
それぞれに受け止めるための「受容器」があって、
それに応じた刺激が加わると「電位」を発生するのです。
要は「電流を流す」ということ。
そして図の「軸索」を電流が通って細胞体に伝わり、
そこからさらに脊髄を通って脳に「電流」が伝わります。
脳はその「電流」を受け止めて、
(正確には電流を受け取った神経終末が出す伝達物質)
その情報を「痛み」として感じるのです。
そういう意味において、
神経は電化製品のコードと同じ役割なのです。
電化製品のコードは、
先のプラグをコンセントに差すことでしか電流は流れませんよね?
同じように感覚神経も、
先の受容器に特定の刺激が加わらない限り電流は流れないのです。
そして「痛み」を感じるということは、
受容器に刺激が入って脳まで電流が伝わったということ。
つまり、
「神経機能が正常に働いた結果」
なのです。
そこでもう一度ヘルニアの理屈を考えてみてください。
「神経根圧迫により痛みを生じる」
本当にそうでしょうか?
神経というものは、
押さえつけられても痛くはありません。
なぜなら「コード」だから。
電化製品のコードを押さえつけても、
電流は流れませんよね?
同じように、
神経を押さえつけても電流は流れません。
もうメチャクチャな力で押さえつけたら、
もしかしたら電流が「流れない」ということは、
理屈の上では考えられます。
でもその場合、
症状としてあらわれるのは
「麻痺」
です。
「神経機能が障害された結果」
として。
ウィキペディアの一文、
「脊髄神経の後根が障害されると、体の一部分の体性感覚が麻痺する。」
ということになるのです。
もしかするとあなたは医学的知識が豊富で、
「神経根はコードではなくタコ足配線の部分だ」
と言われるかもしれません。
確かに神経根はコードそのものだけではなく、
「神経終末」
の部分を含んでいます。
感覚神経の神経細胞が電流を受け取った結果として、
中枢神経(脊髄)の受容器に対して神経伝達物質を出すところなのです。
しかしその神経伝達物質は、
感覚神経が受け取った電流に応じて出されるもの。
神経根が押さえつけられたから出るものではありません。
百歩譲って、
「神経終末が押しつぶされて伝達物質が押し出された」
と仮定しましょう。
その場合感じるのは、
「痛み」
だけではありません。
「熱い」
「冷たい」
「触られている」
「筋肉の緊張と弛緩」
様々なものがあるはずなのです。
このような場合、
脳はどのように感じるのでしょう。
これは推論でしかありません
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