「重力感覚」による身体認識への移行

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、「重力感覚による身体認識への移行」について書きます。

上の絵は、地球上すべてに働いている重力のうち、

自分に働いている部分を手掛かりとして、

身体を認識しているというイメージです。

 

何を手掛かりとして自分の身体を認識し、動かしているのか

これが、最近の修練において重要だと感じていることです。

この、自分の身体を認識するための手掛かりには、

幾つかのものが考えられます。

もちろん「視覚」、つまり見えていることによる自己認識もありますが、

ここではそれ以外の手掛かりについて考えていきます。

 

身体認識の手掛かりになり得る感覚

一つは、「触れている」という感覚。

例えば立っている時の足裏や、物を持っている時の手のひら。

座っている時のお尻や背中、寝ている時であれば布団に触れている部分すべて。

こういった、何かに「触れている」感覚があるところについては、

まちがいなく「自分の身体」だと思えるわけです。

 

次に考えられるのが、「温かい」あるいは「冷たい」という感覚。

冷え性で足がよく冷えるという方にとっては、

その冷えている感覚があるところは間違いなく自分の足だと感じられます。

逆にのぼせやすい人だと、頭や顔の温かい感覚によって、

それが自分の頭や顔だとハッキリわかるでしょう。

 

3つ目としては、「痛み」が挙げられます。

例えば胃腸の調子が悪い時、普段よりもはっきりと胃の存在を感じますよね。

腰やひざが痛くても、同じことが言えます。

 

最後に挙げられるのが、「力み」の感覚です。

上の3つ以外(視覚も除く)で自分の身体を感じる最も確か(だと思える)手掛かりが、

「力が入っている」という感覚です。

おそらく私自身も含めたほとんどすべての人が、

この「力み」の感覚によって自分の身体を認識しているでしょう。

 

身体運動における手掛かり

その時々の状況によって優先順位は変わってくるにしても、

以上4つの手がかりによって、人は自分の身体を認識しています。

そして「運動」という場面においては、

「触れている」感覚と「力み」の感覚が主な手掛かりだといえます。

だから私たちが身体を動かす時には、

これら2つの感覚を動かそうとしているのです。

これではリラックスなんて出来るわけがない。

「肩の力を抜きなさい」

と監督やコーチに言われても出来ないのは、

「肩の力を抜けば、どこを動かしていいのかわからなくなるから」

なのです。

そして同じことが、「脱力」を修練している私自身にも言えるわけです。

 

「重力感覚による身体認識への移行」

残念ながら私たちは、刺激が無ければ自分の身体を認識することは出来ません。

光の刺激(視覚)や圧刺激(触れた感覚・力み感覚)、

痛みや熱といった刺激を感じることで自分の身体だと感じているわけです。

そこでこれら以外の刺激、しかもいつでもどこでも同じように存在する刺激があれば、

そしてその刺激を手掛かりとして身体を認識することができれば、

力むことなく合理的に身体を動かすことができるのではないかと考えられます。

その、なんとも都合の良い刺激こそ「重力」です。

少なくとも地球上にいる限りはいつでもどこでも同じように作用する重力。

この力を手掛かりとして自分の身体を認識すれば、

原理上、力むことは全く必要なくなります。

「下に引かれている感覚」自体を自分の身体だと感じられれば、

ただその感覚を動かせば身体が動くのですから。

そうやって動いた感覚は、

おそらく今までの運動感覚とは全く違ったものになるでしょう。

楽に軽々と動いているのに、ものすごい大きな力が発揮される。

「重力感覚による身体認識への移行」は、

私達の身体運動の次元を大きく変えてくれると期待しています。

 

 

P.S.

もっと多くの方に来て頂いて、
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ピンとくるものがあれば、
遠慮なくメールをください。

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「How to 脱力」セミナーレポート

脱力セミナー

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、先日開催した武颯塾大阪支部セミナー、

「How to 脱力」

のセミナーレポートを書きます。

 

去る6月8日の午後2時~4時、
場所は難波の府立体育館近くで行いました。

参加者は25名で、
終始和やかな雰囲気で進んだのが特に印象に残っています。

そうなった理由の一つとして、
男性15名、女性10名という、
比較的高い女性の参加率が挙げられるでしょう。

もう一つの特徴は、
下は20歳から上は80歳まで、
幅広い年代の方が参加されたということです。

まさに、

「老若男女を問わず出来る」

という武颯塾の脱力修練の良さが現れているなと、
自画自賛していますw

特に今回のテーマが「力の抜き方」という、
修練の核心にアプローチするものだったこともあり、
武道に関心の無い方々にも受け入れやすかったのでしょう。

笑い声の絶えることのないセミナーとなりました。

今回のセミナーにおいて取り上げた、
基本となるチェックは「腕上げ」です。

これは二人一組となり、
普通に立っている一方の腕を、
もう一人が横から垂直に持ち上げるというもの。

このチェックを繰り返し行うことで、
「自分の身体に意識を向ける」ということを学びます。

これも最初は腕が簡単に上がってしまうのですが、
師範の説明を受けながら繰り返し行ううちに、
力を入れなくても簡単には持ち上げられないようになります。

特に参加者から、

「(受ける人が)勝手に持ち上げている」

といった声が聞こえてくるにつれて、
腕を上げられる人が少なくなっていきました。

これは「自分の身体に意識を向ける」ことが、
徐々に感覚として掴めてきたということ。

まずは参加者の多くがこの状態になるまで、
説明や質問を挟みながら、
繰り返し「腕上げ」を行いました。

続いて行ったのが、
四つ這いになった相手に対して、
脚を前に投げ出した形で背中を預けるように座り、
そこから相手を崩しながら仰向けに寝るという動作です。

これはやってみると分かるのですが、
初めての人はほぼ確実に仰向けにはなれません。

背中の力で四つ這いの相手を崩すことは、
余程の体格差がない限り無理なのです。

ですが股関節やお腹周りの力を抜くことで、
自然な形で寝ることができれば、
四つ這いの相手も崩れていくのです。

しかしこの、

「力を抜くことで寝る」

ということが、
意識してみないとなかなかできないのです。

今回参加された方の中には、

「寝ていても肩がこる」

と仰った方もいましたが、
ちゃんと力を抜く習慣をつけないと、
寝ていても緊張は完全には解けません。

そういう意味でこの練習は、
質の良い睡眠を得るためにも役に立ちます。

また、お腹や股関節といったカラダの中心が緩むことで、
よりリラックスした状態になります。

実際、この練習の後で、
会場の雰囲気がより柔らかいものになっていました。

このほかにも、

・あぐらの状態で肩を押さえられたところから相手を崩す

・立っている状態で手首を掴んだ相手を横に動かす

という形で、より深く力を抜くことと、
力を抜いて動くことでより大きな力を出すことを学びました。

以上が簡単ではありますが、

「How to 脱力」

セミナーのレポートとなります。

私はまだ今回の参加者の感想に目を通してはいませんが、
参加された方の多くに実りのあるセミナーだったと感じています。

参加された方につきましては、
良い雰囲気づくりにご協力いただいたことに感謝致しますと共に、
今後も脱力による健やかな毎日を過ごされることをお祈りしております。

また、年末にも同様のセミナーを行う予定ですので、
今回ご参加いただけなかった方も、
ぜひともお越しください。

今後とも、
武颯塾を宜しくお願い致します。

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カラダをゆるめて、ココロをゆるめる

Howto脱力チラシ

 

こんにちは、ワタルです。

今日も前回に引き続き、
6月8日の武颯塾大阪支部セミナーについて書きます。

フェイスブックには先日UPしたのですが、
とりあえずこんなチラシを作ってみました。

今回のセミナーのテーマは、

「How to 脱力」

ということで、
武颯塾における修練の最も基本といえる、

「力の抜き方」

を教えてもらえます。

ご存じの方も多いですが、
私は武颯拳の修練だけでなく、
鍼灸や整体の治療も行っています。

その中でいつも思うことは、
ほとんどの人がガチガチに力んだまま生活しているということ。

しかもそれが当たり前になっていて、
力んでいるという自覚さえありません。

その結果として、
本来動くべき場所である関節が、
動かないまま固まってしまっているのです。

そして、膝や腰、首や肩といった、
動かせる数少ない大きな関節に、
カラダを支える負担を押しつけてしまっている。

これでは痛みが出るのも当然ですよね。

もちろん、
脱力修練をすればすべてが良くなるとは言いません。

前十字靭帯の切れた私の左膝は、
明らかに右膝とは感覚が違います。

また、脱力修練が進むにつれて、
より自分の「力み」に気づくことが増えます。

今まで楽だと思っていた場所が、
実は全然楽ではないということに気づくのです。

けれども昔の自分を思い出せば、
今の方が断然楽に楽しく暮らしていることは、
自信をもって言えます。

そう、力を抜くことは、
ただカラダが楽になるだけではなく、
ココロが楽しくなることにもつながるのです。

実際、治療を終えて緩んだ患者さんはみんな、
治療前よりも明るい表情になっています。

力んでいることで感じられるカラダの重さが、
ココロにまで影響していたのです。

「カラダをゆるめて、ココロをゆるめる」

これは私が治療を行う上でのスローガンなのですが、
カラダをゆるめることは、
ココロをゆるめる最も効果的な方法だと信じています。

ただ、私の理想はもっと先にあります。

こうやって治療によって楽になることも良いのですが、
患者さん自身が自分を楽にする方法を身に付けてもらうことこそが、
本当に私がやりたいことなのです。

そういう意味において今回のセミナーは、
ぜひとも多くの方に来てほしいと思っています。

自分で自分をゆるめられるようになることは、
ただ調子が良くなるというだけにとどまらず、
自分の中の様々な可能性を引き出すカギなのです。

そしてそれは、
年齢や性別に関わらす取り組むことができます。

なぜなら、

「力を抜く」

だけなのですから。

頑張って筋肉を鍛えることにおいては多くの場合、
女性は男性に、高齢者は若者に勝てないでしょう。

でも、

「力を抜く」

ことには、
誰だって同じように取り組めるのです。

「How to 脱力」

これを読んで下さった皆様のご参加を、
心よりお待ちしております。

※会場の都合により、参加可能人数は30名程度となります。
現時点で17名の参加申し込みを受け付けておりますので、
ご参加を予定されている方は早めにお申し込みいただくようお願いします。

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道(タオ)の教え

tao

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「道(タオ)の教え」

について書きます。

 

ちなみにこのブログタイトルは、
練気武颯拳の宗師範による著書のタイトルです。

「道(タオ)」の教え―無為自然に生きる

というわけで今回は、
この本を読んで感じたことをお伝えします。

知っている人も多いとは思いますが、
「道(タオ)」とは中国の「道教」という宗教の言葉です。

「道教」について知らないという方も、
「老子」「荘子」という名前は聞いたことがあるでしょう。

そう、

「無為自然」

という在り方を提唱した人です。

とても響きの良い言葉ですよね。

「ロハス」とか、
「自分らしく」とかと同じように。

より簡単な言葉で言い換えると、

「あるがまま」

ということになるでしょうか。

そして私が修練している練気武颯拳においても、
目指すところはコレになります。

ところがこの本によると、
ここで問題がでてきます。

「あるがまま」

を目指すのはいいのですが、
そもそも私は、

「『あるがまま』がどういう状態なのか?」

ということについて、
「知らない」のです。

もちろん言葉自体は知っていますし、
それに対する「私の理解」はあります。

けれどもそれは、

「私がイメージしている『あるがまま』」

であって、

「あるがままの状態の『あるがまま』」

ではないということ。

私の思考というフィルターを通した時点で、

「『あるがまま』そのもの」

ではなくなっているのです。

それはあたかも青いレンズのサングラスを掛けると、
見えるものすべてが青みがかって見えるように。

私の思考というフィルターを通して認識したものは全て、

「私色に染まっているw」

のです。

これは大きな問題です。

「あるがまま」を目標として修練しているにもかかわらず、
その結果は「自分の思考」の方に進んでいるのですから。

だから武颯拳の修練は、
ただ闇雲に数をこなしても上達しません。

「自分のイメージ」には近づくかもしれませんが、
「あるがまま」からは離れてしまうのです。

ではどうすればいいのか。

この本には次のように書かれています。

「『あるがまま』とは、

自分の観念的な思考を含まずに、

全ての現象をそのまま、

ありのままに見て、

感じて、

行動するということです。

それは、

自分の過去の記憶、

経験から自由であるということを意味しています。

つまり、

過去に束縛されない、

影響されないということです。」

「とはいっても、

それがどのような状態なのかはわからないと思います。

それは、

みなさんが思考するからです。

自分の考えの中にある、

『ありのまま』をイメージしようとするからです。」

「思考を捨てなければなりません。

思考を停止させることが必要なのです。

思考を停止させることを怖がったりする必要はないのです。

思考を停止させても、

あなたは充分に機能できます。」

(以上、引用終わり)

私自身、修練における上達の問題を痛切に感じていたところ、
この本に出会いました。

「思考を停止させる」

とは、

「無の境地」

に通じるものであり、
禅や密教の修行をする人が追い求め続けているものです。

ですからそう簡単に出来るようにはなりませんが、
この本を読むことで少なくともその必要性は理解できます。

こうやって書いている私自身、
改めてその必要性について納得することができました。

このブログを読んで下さるあなたにも、
ぜひ一度手に取ってもらいたいと思います。

(絶版のため中古しかなく、しかも高い!!のですが…)

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相手の立場に立つ

相手の立場に立つ

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「相手の立場に立つ」

ということについて書いていきます。

私はこれまで、
この言葉があまり好きではありませんでした。

なんとなく相手に気を使ってばかりの、

「弱いイメージ」

しかなかったからです。

けれども本当は、
そうではなかったのです。

「相手の立場に立つ」

ことは結果として、

「自分が強くなる」

ということに気づいたのです。

以下、その理由について書きたいと思います。

前回の記事、

「カラダに働くテコの原理」

において、楽に大きな力を発揮するためには、
無意識に設定しているテコの原理を変えること、

つまり、

「見方を変える」

ことが必要であると書きました。

けれどもこれが、
意外に難しい。

それは、

「自分が何かをする」

という状況においてはすでに、

「テコの設定は終わっている」

から。

何かをしよう、動かそうと思った時にはもう、
どのように動くかは決めてしまっているのです。

そしてそのタイミングで違う動きをしようと思っても、
一度決めたことを変えることは難しい。

結果としていつもの自分と同じ動きか、
それよりもぎこちない動きになってしまいます。

そこで役に立つのが、

「相手の立場に立つ」

という考え方です。

これはみなさん、
子供のころから繰り返し言われてきたと思います。

そう、

「自分がされて嫌なことは、他人にもしない」

というやつです。

ですが武術の修練では、
これと逆のことをします。

例えば手首を両手でつかまれて、
それを上に挙げるという場合。

同じような体格の場合、
普通に動くと腕を挙げることは難しいです。

そこで一度、

「相手の立場に立つ」

ということをやってみるのです。

手首を両手で掴まれた状態で、
意識だけ自分の手首を掴んでいる側に回ってみる。

そして、

「こんな風に動かれたら押さえられないな」

と感じる通りに自分の身体を動かす。

すると思ったよりも楽に、
腕を挙げることが出来るようになります。

そして人によっては、
最初に自分が腕を挙げようとした動きとは、
随分違う動きになることに気づくのではないでしょうか。

この「違う動き」こそが、
「合理的なテコ」を使った動きなのです。

相手の側に立つことで自分の「思い」を外すことが出来た結果、
「不合理なテコ」から「合理的なテコ」へと設定しなおすことができる。

このように、自分の思い通りにやろうとすると上手くいかないことが、
相手の立場に立つと上手くいく。

武術で言えば、自分勝手な技ではなく、
本当に相手に効く技になるわけです。

これって、

「強い」or「弱い」

のどちらになりますか?

私はこれが、

「強い」

ということだと思います。

日々生活していると、
本当に様々な状況に直面します。

その状況の中で、
自分の「思い」だけで判断するのではなく、

「状況の側から自分を見る」

つまり、

「相手の側に立つ」

ことで、
よりその場に合った判断が出来るのではないでしょうか。

ただこのような「気持ち」とか「考え」といった、
きわめて「主観的」なことというのは、

「本当に出来ているかどうか」

の判断が非常に難しいです。

ハッキリ言ってしまえば、

「出来た気になりやすい」

のです。

そこで、そのトレーニングに最適なのが、
武術修練だと言えます。

カラダを使ってチェックをしながら行うことで、

「出来た気になる」

という落とし穴にはまらずに済むのです。

というわけで、

「相手の立場に立つための武術修練」

やってみませんか!?

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「カラダに働くテコの原理」

ハンマー

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「カラダに働くテコの原理」

について書いていきます。

現時点で私が理解している、
武術の技の基本的な原理は次のようなものになります。

「重力をテコの原理で増幅・変換して扱う」

例えば前に伸ばした腕を相手につかまれて、
それを下に落とすという場合。

普通の動き方をすると、
相当な力の差が無い限りは落とすことが出来ません。

けれども見方を変えて、
自分の身体を落とすように使えば、
意外と楽に腕を落とすことが出来ます。

これを例えて言うなら、
巨大なヘッドの付いた柄の長いハンマーを、
いきなり相手に持たせるイメージ。

突然こんなものを持たされたら、
よろけてしまいますよね。

それはハンマーの重さだけではなく、
柄の長さによるテコの原理が働いているから。

同じように、つかまれた自分の腕を落とす時でも、
腕の長さによるテコが働くように身体を落としていく。

すると相手は重心を崩されるので、
腕を支えることが出来なくなるのです。

このように、自分の体重(≒重力)を力点とし、
作用点と支点が相手側にあるようなテコを働かせることで、
技がかかりやすくなります。

ちなみに支点を作用点よりも遠くに置くと下げる力に、
近くに置くと上げる力になります。

以上が、

「カラダに働くテコの原理」

の簡単な説明になります。

ただしこれは、
私が理解している程度の話。

武術本来のカラダの使い方から見れば、
ごくごく初歩に過ぎないでしょう。

けれどもこんな初歩的なことでさえ、
私自身これまでの習慣が邪魔をして、
当たり前に使いこなすことが出来ません。

いちいち見方を切り替えないと、
「不合理なテコ」を使おうとしてしまうのです。

ところがこの「見方を切り替える」ということが、
理解はしてもなかなか実践できません。

そこで次回は、

「見方を変えるための考え方」

について書きたいと思います。

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発勁(沈墜勁)のイメージ

発勁

 

こんにちは、ワタルです。

久しぶりのブログ更新となる今日は、

「発勁(沈墜勁)」

という、いかにも武術らしいテーマで書きます。

神戸修練会における最近の修練では、

「押さえられた骨盤を動かす」

ということを繰り返し行っています。

仰向けに寝ている状態で上から骨盤を押さえられると、
普通に動こうとしても簡単には動けません。

そこで必要になってくるのが、

「骨盤と肋骨がバラバラに分かれて動く」

ことなのです。

その為には骨盤と肋骨の間の部分が、
脱力して緩んでいることが重要です。

お腹や腰周りの力を抜いて、
押さえられていることに関係無く動く。

何度も繰り返し練習することで、
骨盤をより自由に動かせるようになってきます。

そして骨盤が自由に動く状態になると、

「腰を落とす」

という言葉の意味がわかってくる。

私が修練を始めた当初から、

「股関節を抜いて腰を落とすことが発勁の基本」

だと教えられてきました。

たしかに腰を沈めるように動かすことで、
普段よりも大きな力を出すことは出来ます。

けれどもそれはあくまで、

「腰を沈めただけ」

であり、

「発勁」

とは程遠いものです。

しかし肋骨と骨盤の間が十分に緩めば、
話しは違ってきます。

腰は「沈める」のではなく「落とす」のです。

それをあえてイメージで説明すると、
次のようになります。

何か、重たい荷物を思い浮かべてください。

あなたはそれを、紐でくくって持っています。

少し紐が長すぎて持ちにくいので、
手元で紐を束ねるようにして持ちました。

ところが手が滑って、
紐が一気に伸びて重たい荷物が落ちる…。

仮にこの荷物が60kgあったとしたらどうでしょう。

それを支えるのは相当大変ですよね。

60kgの荷物を持ち上げるのと、
落ちてくる60kgの荷物を受け止めるのでは、
その負荷は全く違ったものになります。

この、紐でくくった荷物が落ちるように、
自分の腰を落とすのです。

この時に生じる力を、
腕や脚に伝えて使う。

それが、

「発勁(沈墜勁)」

だと言えます。

私自身はまだまだ自由に腰を「落とす」とまではいきませんが、
正しい修練を続ければそれが出来るようになると、
ハッキリと確信しています。

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カラダを緩めれば、ココロも緩む

カラダとココロ

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「カラダを緩めれば、ココロも緩む」

というタイトルで書いていきます。

 

カラダとココロの関係を、
武術と東洋医学の両面から考えてみました。

では早速、本題に入ります。

私が武颯塾で修練を始めた頃からずっと言われ続けていること。

それが、

「心で心を変えることは難しい。
だから、身体を変えることで心を変えましょう。」

ということです。

そしてそのために、力を抜くための修練を続けてきたわけですが、
最近になってようやくこの言葉の意味が分かるような気がします。

今年に入ってからの武颯塾の修練では、
両脇を持ち上げられた状態で体幹を緩めることに取り組んでいます。

この両脇を持ち上げられるという修練自体は、
私が参加するずっと以前からあるものです。

けれども今年の取り組みにおいて、
あらためてこの修練の「効果」を感じているところです。

その、感じられる「効果」こそ、

「カラダを緩めれば、ココロも緩む」

という「実感」です。

そう、今までは言葉としてアタマでは理解したつもりでも、
本当の意味で「実感」してはいなかったのです。

けれども今年の取り組みによってそれを「実感」したことで、
それをこうやって自信をもってお伝えできるようになりました。

この両脇を持ち上げられるという修練においては、
主に脇の下から脇腹へと緩めることになります。

この、脇の下や脇腹といった身体の側面は、
普段の生活や運動において意識されにくい部分です。

さらには一般的な運動においては、
腕を動かす時の「土台」として使われます。

その為ほとんどの人が、
ここを強く固め続けたままになっているのです。

それがなぜいけないのかというと、

「イライラする」「腹が立つ」

といった、

「怒り」

の感情を呼び起こすからです。

「脇腹の硬直」「怒り」の感情は、
一見何の関係も無いように思えるかもしれません。

けれども少しでも東洋医学を勉強したことがあれば、
そこには密接な関係があることを理解できます。

東洋医学における症状の一つに、

「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」

と言うものがあります。

これは読んで字のごとく、

「胸から脇腹にかけての張りを感じて苦しい」

というものです。

経絡で言えば、

「肝経」および「胆経」

の病症ということになります。

ちなみに東洋医学には、

「五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」

というものがあります。

それは人のカラダやココロと自然界の事物についての、
さまざまな関連性についてまとめた一覧表。

そんな「五行色体表」において、
これら二つの経絡がつかさどる感情は、

「怒り」

です。

つまりこの「胸脇苦満」は、

「ストレスによる怒り」

が最大の原因で起こる症状なのです。

そして、治療や修練で多くの人の身体に触って感じることは、
ほとんどの人が「胸脇苦満」と言えるくらい脇腹が固いということ。

それはつまり、意識の有無にかかわらず、
「怒り」を抱えた状態だと言えるのです。

そんな「胸脇苦満」に対する鍼灸の治療方法は、
「気の流れ」を良くするというものです。

これを「疎通経絡」というのですが、
主に「肝経」「胆経」に鍼を打ちます。

そして「肝経」「胆経」はいずれも体幹においては、
脇腹をとおります。

つまり「胸脇苦満」の治療とは、
「脇腹の通りをよくすること」だと言えるのです。

これは観方を変えると、

「怒りによって固くなった脇腹を緩めて、
怒りを鎮めている」

と捉えられます。

ということはつまり、

「脇腹を緩めれば、怒りは鎮まる」

ということ。

実際、両脇を持ち上げられる修練をすると、
何とも言えない気持ちよさを感じます。

カラダが気持ち良いだけではなく、
清々しい気分になるのです。

そして気づくのが、
いかに自分がくだらないことに腹を立てているのかということ。

けれども脇腹を緩める修練を続けることで、
そんな自分を変えていける。

「カラダを緩めれば、ココロも緩む」

今ではそう確信しています。

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神戸市卓球選手権大会 優勝!!

卓球

 

こんにちは、ワタルです。

昨日は修練に来たIさんから嬉しい報告を頂いたので、
ここで書きたいと思います。

それがタイトルの、

「神戸市卓球選手権大会 優勝!!」

です。

しかもなんと、
シングルスとダブルスの2冠。

ダブルスはペアの方が強いと聞いていたし、
これまでにも幾つかの大会で良い成績を残していました。

けれども今回はそれに加えて、
シングルスでも優勝。

出場9回目にして初の快挙だそうです。

初めてIさんが修練に来てから、
もう2年半ほどが経ちます。

最初の3カ月ほどで修練の効果が出てきて、
それが成績にもつながりました。

ところがその後1年ほど、
思うような結果がついてきませんでした。

それはおそらく「脱力」による運動と、
これまでの動き方とがせめぎ合っていたのでしょう。

こういう状況になると多くの場合、
今までの動き方に戻そうとします。

一時的な成果を求めるのであれば、
慣れ親しんだ動きの方が結果が出やすいですから。

けれども「脱力」を学び始めたそもそもの理由は、
そこに行き詰まりを感じたから。

そして「脱力」による運動が合理的だと、
少なくとも理屈においては理解したからでしょう。

であるならば、
結果が出ない期間をなんとかして乗り越えればいい。

それは本当にツラく大変なことだと思います。

けれどもその期間を乗り越えると、
大きな成長を手にすることが出来ます。

実際、最近の修練におけるIさんの理解は、
これまでに比べて大きく進んできました。

それは、脱力修練が卓球の競技力向上に役立つと、
より深い確信を得たからでしょう。

共に脱力を修練する仲間として、
Iさんの今後が本当に楽しみです。

最後になりましたが、Iさん。

「神戸市卓球選手権大会2冠、
本当におめでとうございます!!」

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カラダの身体をカラダに返す

 

あけましておめでとうございます、ワタルです。
今年もよろしくお願いいたします。

2014年最初の記事は、

「カラダの身体をカラダに返す」

というタイトルで書いていきます。

こうやって文字にして書いても、
意味が分かりにくいですよね。

これは以前に武颯塾の茂呂師範より、

「身体は誰のもので、誰が動かしているのか?」

という問いかけを頂いたことに対する、
現時点での私の考えになります。

最近の修練では、

「歩く」

という最も基本的な動作について、
様々な形で負荷を掛けながら行っています。

上手くいくこともあればそうでないこともあるのですが、
その中で少しずつ確信を深めていること。

それが、

「この身体を動かしているのは、『私』ではない」

ということなのです。

例えば4人で、
前後左右から腕を押さえられたとします。

その時に4人を引っ張って歩こうとしても、
とても歩けるものではありません。

もちろん自分の身体だけを前に進めようとしても、
ガッチリと押さえられていれば動けません。

けれども「ある感覚」になると、
不思議なくらい簡単に歩くことが出来ます。

この時の感覚を言葉にすると、

「カラダが身体を動かしている」

という感じが最も近いのです。

私がどれだけ、

「ここをこうやって動かそう」

として頑張っても動かないものが、
カラダが身体を動かすことに任せられれば、
あっけないほど楽に動くことが出来る。

このことから理解できることは、

「『私』が身体を動かしてはいけない」

ということなのです。

『私』が身体を動かそうとすることが、
身体本来の合理的な動きを邪魔してしまう。

ですからこの身体を動かすことから、
『私』は手をひかないといけない。

「私の身体」だと思っていたこの身体を、
「カラダ」に返す必要があるのです。

「カラダの身体をカラダに返す」

これが私の今年の目標になります。

今年もよろしくお願いいたします。

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