脱力トレーニング 一体感を感じるマッサージ

 

力を抜いて力を出すという脱力トレーニングは、

カラダを使う技術全般に応用出来る。

その中でもとりわけ役立つのが、

マッサージや整体といった、

直接相手のカラダに触れる技術だと思う。

 

 

上手な整体やマッサージの特徴の一つは、

「一体感を感じられる」こと。

施術する側とされる側の力のやり取りが、

スムーズに行われるほどに、

この一体感が大きくなっていく。

すると施術を受ける側は、

安心してカラダを委ねることができるので、

より深いリラックス状態になる。

ではなぜ、脱力トレーニングをすると、

この一体感を感じやすくなるのか。

 

腕立て伏せの記事にも書いたけど、

普通のやり方で腕で相手を押そうとすると、

自分から相手を突き放す運動になってしまう。

だから、せっかくカラダを近づけて、

体重をかけて施術しようとしても、

一体感を感じられることは少ない。

どうしても腕は相手を突き放しているから。

これだと、

「あなたはあなた、わたしはわたし。」

という関係性が変わることはない。

 

それに対して脱力による施術は、

カラダを緩めることで水の塊へと近づけていき、

動きの波を力として相手に伝える。

水滴をイメージしてもらえれば分かるように、

水は何かに触れるとくっつく性質がある。

水滴と水滴が触れ合った瞬間、

一つの大きな水滴に変わるよね。

つまり、カラダが緩んで水に近づくほどに、

触れた相手との境界線は曖昧になる。

「わたしとあなたで一つのもの」

という一体感を感じやすくなる。

 

もちろん、

マッサージや整体を受けに来る人の好みはそれぞれ。

ただ、本当にカラダを緩めたい、

緩めてあげたいのであれば、

脱力トレーニングは大いに役立つと思う。

 

 

 

脱力トレーニング 半座位 手 前方

 

 

脱力トレーニングにおいては、

筋力ではなく重力を力の発生源として使う。

その第一歩として学ぶことは、

狙った場所に効果的に体重を乗せる技術。

今回は座位で、正面へ出した手に体重を乗せた。

モデルの修練生が按摩指圧マッサージ師の卵なので、

ちょうどピッタリな修練方法だ。

 

 

修練のポイントは、

股関節の脱力で膝に体重をストンと落とすこと。

この体重が落下する力を、

お腹の脱力で手が前に放り出される方向に転換する。

手をどの方向に放り出すかは、

お腹の脱力の仕方でコントロールする。

 

注意して見て欲しいのは腕の形。

普通のやり方で腕に体重を乗せようとすると、

たいていは肘を伸ばして腕を突っ張る。

腕をつっかえ棒のように使おうとする。

対して脱力トレーニングでは、

腕はゴムホースのように扱う。

だから動画でも肘は楽に曲がっている。

この楽に力が抜けた腕だからこそ、

効果的に体重を乗せることができる。

 

整体やマッサージをするならぜひ、

この腕の使い方を覚えて欲しい。

相手が気持ちいいだけでなく、

自分も楽に無理なく仕事ができるから。