2011.9.25修練日誌


9月25日の日曜日、
武颯塾大阪支部にて月例の集中修練がありました。

茂呂師範に東京よりお越しいただき、
午前10時から午後5時までみっちりと稽古をつけて頂きました。

午前の部は、「練気柔真法」という、
武術のエッセンスを抽出した身体運動の基礎を修練しました。

基礎とは書きましたが、今回取り上げた動きは

「脚を前後に開いてしっかり立っている相手を人差し指だけで押して動かす」

というとても基礎とは思えないものでした(笑)

最初はやはり難しく、
人差し指が曲がったりして痛かったのですが、

午前中の修練が終わるころには、
多くの修練性ができるようになっていました。

こういう状態を師範曰く、
「今だけ達人」と呼ぶそうです。

なんてピッタリビックリマークなネーミングでしょう。

私も翌日に同じことをしてみたら、
かなり違った感じになっていました。

午後の部の前半は「練気武颯拳」の時間です。

今月のテーマである「投げ」の修練を、
合気道的な「天地投げ」「四方投げ」「小手返し」などの形で修練しました。

とはいえそこは「練気武颯拳」
ただ形が出来れば良いというわけではありません。

事前に打突の修練をすることで間合いの感覚を養い、
さらに相手に一定の圧をかけながらまとわりついて動く修練により、
「合成重心」の感覚をつかんでいきました。

それらの感覚を十分に感じたうえで、
「脱力」して「合成重心を動かす」ことで相手を投げるのです。

私個人的には、
相手の突きに対して何気なく身体を寄せる師範の動きが、
大変興味深く、また難しいと感じました。

最後の修練となる午後の部後半は、「練気杖術」でした。

まずは基本形を何本か振った後、
杖先へ「重み」を流す修練へと移りました。

まずは相手に杖先を持ってもらい、
そこに向かって重みを流します。

見た目では杖はほとんど動かないのですが、
持っている相手は後ろに動かされてしまいます。

杖という物体を押し付けるのではなく、
杖を介して「力の流れ」を伝達するのが目的です。

それがある程度できるようになると、
今度は相手の持った杖に対してこちらの杖から重みを伝えます。

そしてさらに、
杖で相手を崩す修練へと進みました。

私自身の最近のテーマとして、
「相手の重心を揺らす」ということを修練しているのですが、

今回の杖の修練中に、
「自分の杖と相手の杖を介して相手の重心を揺らす」
という経験が何度かできました。

これも残念ながら「今だけ達人」みたいなものですが、
感覚が残っているうちになんとかものにしたいと思っています。

今回の集中修練は初参加の人が1名と、
名古屋支部からの参加が2名ということで、
普段組まない相手と修練することができました。

おかげさまで、
普段気付かない自分の癖や力みに気づかせて頂きました。

この場を借りてお礼申し上げます音譜

2011.9.15修練日誌(修練生向け、続き)

9月15日の武颯塾大阪支部修練日誌の続きです

練気武颯拳

今月のテーマである「投げ」を、
今回も違った角度から修練しました。

修練はすべて、二人一組の相対修練です。

まず最初に行ったのが、
向き合った相手に対して片足で5本ずつ蹴りを出す修練でした。

ポイントは、5本出し終わるまで蹴り足を地面に下さないこと。
さらに、上段への蹴りを最低1本は出すこと。

この修練の目的は、
腹背と股関節周りを緩めること。

さらにこの後、
構えた相手の腕にこちらの手をかけた状態で同じことをやりました。

続いて、構えた相手の前足鼠蹊部近くにこちらの前手の前腕を載せ、
前足膝近くを後ろ手で触れた状態で相手を倒す修練をしました。

大腿部を取りに行く片足タックルに近い形ですが、
相手の脚を引き抜いて倒すのではなく、
合成重心を意識して、「揺れ」「重み」を伝えて倒します。

次のステップは、倒した相手にくっついたまま転がり、
そのまま固め技に入ってしまうというものでした。
倒しながらも合成重心の意識を切らない修練です。

そして今度は、受ける側の修練です。

前脚を取られた側が相手に倒されながらも合成重心を制して、
一緒に崩れながらも脚を取りに来た相手が下になるように倒れます。
倒されながらも、合成重心の意識を切らない修練ですね。

そしてその感覚がつかめると、
今度は自分は倒れずに、脚を取りに来た相手だけを倒します。

さらに次は、脚を取りに来た相手を、
脚を取る前に両手で床に向かって潰してしまいます。
触れる前から合成重心を意識する修練でした。

あといくつかのバリエーションを修練したあと、
最後に突きを捌いて投げる修練をしました。

最初は肩口を触りに来る相手を投げるところからはじめ、
通常の速度で踏み込んで逆突きを撃ってきた相手を投げるところまでやりました。

離れている相手との合成重心をどれだけリアルかつ正確に感じ取れているか、
さらにはコントロールできるか、という修練でした。

最近の私自身の修練テーマとして、

「普段通りの意識で脱力する」
「できるものだという気分で技をかける」

ということに取り組んでいるのですが、
今回の修練では残念ながら難しかったです。

日々、脱力あるのみですね。

2011.9.15修練日誌(修練生向け)

9月15日の武颯塾大阪支部における修練内容は以下の通りです。

陳式太極拳老架式

「前招~後招~野馬分鬃(のまぶんそう)」

前招~後招については、前回の復習でした。
前招で左手を上げて右手を下げたところから、
右に90度反転しながら左手を下げて右手を上げる、
というのが以前教わった後招の形でした。

それが進んで前回より、
左手は平仮名の「の」を書くように、
右手は「の」の左右対称形を書くように動くよう教わりました。

そしてこの後招の動きで、
手首を掴まれたところから投げる用法を修練しました。

さらに今回は後招から野間分鬃について、
入り方から終末動作の勁の通し方までを教わりました。

まずは後招の終末動作で上がっている右腕(肘)を外側に開く動作で背中を開きます。
この結果として左手にも勁が通り、さらに重くなります。

そこから右回転で両腕が180度くらい回り、
ボールを抱えたような格好になります。
この時、後招の終末動作からは45度ほど右を向き、
右脚も完全に虚の状態になります。

そこから右脚を右斜め前に振出し、
左脚の重心を丁寧に進めていくことで右肩~右腕と伸びていきます。
そしてさらに肘の抜きを使いながら右腕~右手へと勁を伝えます。
左手は上から右手と行き違うように左腰に向かって下りていきます。

そのまま右脚に乗って右手が伸びると、掌は上を向いて撃ち出されます。
そこで地面からの反力と右肩・胸の脱力により、
今度は掌が前を向いた形で右手が撃ち出されます。

体の中の水が揺れて、「行って戻ってまた行く」という感じでしょうか。

以上が私が覚えている範囲での茂呂師範からの注意点でした。
練気武颯拳の修練についてはあらためて書くことにします。

2011.9.8修練日誌(修練生向け、続き)

9月8日の武颯塾大阪支部修練日誌の続きです。

練気武颯拳

今回も、9月のテーマ「投げ」に沿った修練をしました。

とはいっても前回とはガラッと焦点が変わって、
「足さばきと重心移動」がメインの修練でした。

修練はいつも通り相対で行いました。

半身になって構えている相手の腕に手をかけて、
表(腹側)や裏(背側)から相手の両足の間(ちゅうもん)にこちらの足を差し入れます。

そして、差し入れた足に重心を載せていくことで、
相手が崩れて尻餅をつくようにします。

ここで重要なことは、
掛けた手や触れた脚を動かして相手を倒すのではないということです。

手や脚を押したり引いたりするのではなく、
自分の重心移動が「力」として相手の重心に作用するのです。

そのために必要になるのが、
まず、身体の力を抜いて「流体」として動くこと。

そして、相手と自分を一つのものとして認識し、
相手の重心と自分の重心の間にある「合成重心」を動かすことです。

この2点を意識して修練することで、
よりスムーズに抵抗なく投げられるようになります。

修練を行う上での形は変わっても、
本質的には同じことをやっているということですね。

2011.9.8修練日誌(修練生向け)

9月8日の武颯塾大阪支部における修練をまとめたいのですが、
あいにくの交通機関ストップのため、1時間遅れでの参加となりました。

陳式太極拳老架式

青龍出水
背折靠から空手の下段払いのような形へと移行します。
この時の、払う(打ち出す)右手の使い方を修練しました。
チェックポイントは、背折靠で右肩甲骨あたりに集まった重みを、
肘⇒前腕⇒拳へとロスなく流せるかどうかです。
しっかりと拳を抑えられた状態から、
ぶつからずに相手を動かせるかどうかをチェックします。

分脚
しっかりと軸足に乗り切り、軸足による地面の踏みを蹴り足に伝えます。
地面からの抗力をためて、脱力により一気に解放する修練をしました。

前招・後招
単鞭からの入りにおいて、右股関節の開きによって、
重みが両手の指先まで流れるかどうかのチェックをしました。
この指先まで流れた重みは、
この次の技である野馬分鬃まで途切れることなく流れ続けます。
次に、後招の実戦用法を修練したのですが、
動作を言葉で描写することが困難なため、割愛します。

以上が陳式太極拳の修練における、茂呂師範からの注意点でした。
練気武颯拳の修練についてはあらためて書きます。

2011.9.1修練日誌(修練生向け、続き)

9月1日の武颯塾大阪支部修練日誌の続きです。

練気武颯拳

今月のテーマは「投げ」ということで、
より力を抜いて抵抗感なく投げる修練をしました。

師範からは何度も言われていることですが、
今年のテーマは「合成重心」です。

相手と自分の全体を意識に収めて、
その全体像の重心である「合成重心」を知覚する。

そして、自分が主体となって「合成重心」を動かすことにより、
「結果として」相手が投げられる。

こう書いてしまうと、目的意識が薄くなって、
漫然となんとなく投げてしまいがちですが、そうではありません。

全体像として、自分がどこに動いて、
相手がどのように倒れるのかというビジョンはハッキリと持つ必要があります。

そのビジョンに向かって、
我執を出さずに最適な動きをする。

そのために、「合成重心」を動かして、
その結果自分と相手の体が動かされるのです。

まだまだ未熟なため、間違っていることもあるかと思いますが、
以上が前回の修練で私が感じたことです。

2011.9.1修練日誌(修練生向け)

9月1日の武颯塾大阪支部における修練は以下の通りでした。

陳式太極拳老架式

金剛搗碓(こんごうとうすい)
起勢からの技の入りにおいて、臍が右側を向いてしまうまで、
重心がしっかりと右足に乗り切ること。
その重心移動に伴う独楽軸回転と脚の踏みによって腕が振り子運動で動かされること。
右脚、左脚、中心、左脚、へとしっかりと重心が移動され、
最後左脚に乗り切る際に右脚が脱力されて地面を摺るよう動くこと。
 
攬扎衣(らんさつい)
金剛搗碓からの技の入りにおいて、左脚への重心移動により、
右脚が引き付けられること。
またその際に、右側をしっかりと向くこと。

抱虎帰山(ほうこきざん)
攬扎衣からの技の入りにおいて、左右の足への重心移動をしっかりと行うこと。
その重心移動により、腕が遠くのものを引っ張ってくるように遅れてついてくること。

単鞭(たんべん)
抱虎帰山からの技の入りにおいて、左股関節の開きに応じて左ひじが滑ること。
そこから右手が鳥のくちばしのような形をとりながら限界まで右側を向いてしまい、
さらに右側を向こうとすることで、滑車軸が回転して左脚が振り出される。
この時、重心は右脚に残ったままであり、独楽軸も右回旋したままで力が溜まっていることが重要。
振り出された左脚に乗りながら独楽軸が左回旋、右回旋と震わせられることで手が撃ち出される。

以上が陳式太極拳の修練における、茂呂師範からの注意点でした。
練気武颯拳の修練についてはあらためて書きます。