身体の中心を意識する

高田馬場

 

こんにちは、ワタルです。

去る9月14日~16日の3日間、
武颯塾東京本部道場での合宿修練に参加してきました。

14日の午後から16日の夜まで、
みっちりと修練できる貴重な機会。

まして今回は約1か月後の10月20日に演武会を控えていることもあって、
師範方も含めて熱の入った合宿となりました。

そんな充実した合宿修練で、
あらためて重要だと感じたこと。

それが、

「身体の中心を意識する」

ということです。

このブログを読んでいる人の多くは、
身体の使い方に普段から関心を持っていることでしょう。

だからおそらく、

「そんなことはもう知っているよ」

と思われるかもしれません。

こうやって文字にして読むと、
私自身も「ありきたり感」を感じてしまいますから。

ですがあえて書きます。

「身体の中心を意識する」

ことがやはり大切であると。

以前の記事においては、
身体の中心から動くことの重要性を、
テコの原理を用いて説明しました。

参考:身体を上手く使えるイメージ図(全身版)

この時は武術的な観点から、
中心から動いた方が合理的だという解釈で書いたのですが、
今回は日常における変化を中心に書いていきます。

身体の中心に意識を向けることで、
最も大きな変化。

それは、

「立つことが楽になる」

ということです。

私たちの身体には普段、
ただ立っているだけで大きな負荷がかかっています。

実際立ち仕事をしている人の多くは、
膝や腰の不調を訴えていますよね。

この膝や腰の不調の原因が何かというと、

「重心線に対して、身体の各部分がズレている」

ということがあげられます。

積み木をイメージしてもらえば、
分かりやすいです。

積み木を重ねて立てる時、
それぞれの重心線が重なっていると、
手を放しても安定して立ちますよね。

ところが重心線がズレていると、
手で支えていないと崩れてしまいます。

膝や腰を痛める状態というのは、
積み木における手の支えと同じことを、
膝や腰で行っていると言えるのです。

だから、
ただ立っているだけで疲れてしまう。

常にどこかで身体を支えていないと、
立っていられないのだから当然ですよね。

ましてやそんな状態で運動をすれば、
どれだけ大きな負荷を支えることになるのか。

私自身、2年前に膝の前十字靭帯を切っているので、
出来るだけ膝への負担無く動きたいところです。

ですが身体の中心を意識できていないと、
どうしても身体を支える重心線がずれてしまう。

十数年修練を続けているので、
身体の中心から動くように意識はしています。

それでも腰を低く落として動き続けると、
膝に違和感を感じることがありました。

この合宿修練において気づいたのは、
やはり中心の感覚が薄かったということです。

腰を低く落として膝を深く曲げると、
どうしても膝の意識が強くなり、
中心の感覚がおろそかになっていました。

しかし中心の感覚を外さずにいると、
膝を深く曲げても脚がツラくないのです。

つまり、

「膝で身体を支えなくなった」

のですね。

上にも書いた通り、
膝や腰の不調の原因は、

「膝や腰で身体を支えている」

ことにあります。

ということは、
それをやめてしまえば良いだけなのです。

「身体の中心を意識する」

ことにより、
重心線を整える。

それは、

「余計な支えの必要をなくす」

ことであり、

「楽に立つ」

ことにつながるのです。

私たちは普段、
立つことや歩くこと自体に負荷を感じています。

意識の有無にかかわらず。

これは日常的に行うことなので、
そのストレスは常に積み重なっていきます。

それこそ大量の積み木を積み上げるがごとく。

けれどもそのストレスは、

「身体の中心を意識する」

ことで、軽減できるのです。

今後の生活を快適なものにするために、
ぜひ、意識してみてください♪

P.S.

もっと多くの方に来て頂いて、
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遠慮なくメールをください。

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完結・静寂に耳を傾ける

二寧坂

 

こんにちは、ワタルです。

長々と引っ張ってきた、

「静寂に耳を傾ける」

というテーマですが、
今回が最終回となります。

 

前回前々回と書いてきたことは、

「視野全体を意識することで、

対象をあるがままに見ることができる」

というものでした。

ちなみに普通の感覚との違いを感じる簡単な方法としては、
次のようなやり方があります。

1.正面の一点に視線を定める
(目立つ対象物があるとやりやすい)

2.両手を顔の横に上げる

3.視線を対象から外さずに、両手を前後に動かしてみる

4.視線を動かさずに視界に手が映るぎりぎりの位置で手を止める

5.その状態で両手を同時に見続ける

ポイントは、目を動かして片手ずつ見るのではなく、
視線を動かさずに両手を同時に見ることです。

このようにすることで、
一人でも簡単に意識の広がった状態を感じることができます。

私自身、朝晩の短時間の瞑想の際にこのやり方を使うことで、
よりスムーズに意識状態を変えられるようになりました。

ぜひ一度お試し頂きたい方法です。

そしてこの意識状態を感じてもらえると、本題の、

「静寂に耳を傾ける」

ということが分かりやすくなります。

なぜならこれは視覚を利用して広げた意識を、
聴覚に応用してみようというわけなのですから。

上に書いた方法で意識を広げたら、
その状態のまま聴こえる音に耳を澄ませてみる。

視野全体を意識したら、
その全体の音を聴くのです。

おそらくこれまでとは違った聴こえ方になるでしょう。

分かりやすいやり方としては、
相手に話しかけてもらいながら行ったり、
テレビの前でやってみたりする方法があります。

その時に感じられる感覚を言葉にするのは難しいのですが、
人によっては、

「シ―――ン、という感じの上に音が乗って聴こえる」

という表現をしていて、
なるほど確かにその通りだと感じました。

この、

「シ―――ン」

の部分こそが、
普段私たちが聴くことを忘れがちな、

「静寂の音」

なのです。

この音を聴いていると、
何とも言えない心の安らぎを感じられます。

さらには普段の自分が常に多くの刺激に

「集中させられている」

ということが分かるのです。

実は視覚については、
「どこを見ているか」が比較的わかりやすい。

けれども聴覚については、
「どこを聴いているか」という感覚が持ちにくいのです。

というよりそもそも一部の業界人を除いては、
そのような意識で耳を澄ませる機会がありません。

だから日常生活において、
様々な音に「集中させられている」ことに気づけない。

例えば電車の中。

携帯電話の話し声や赤ちゃんの泣き声。

とても気になりますよね?

ところが実際には、
電車の走行音や乗客同士の会話など、
他にもさまざまな音が飛び交っています。

それでも気になってしまうというのは、
「集中させられている」からなのです。

ですがもしここで書いているような、

「静寂の音を聴く」

ことが出来たらどうでしょうか。

話し声や泣き声が聞こえなくなるわけではありませんが、
その「聴こえ方」が変わってくるでしょう。

結果として今まで感じていたイライラを10だとしたら、
5くらいにまで軽減できるのです。

私たちは皆、子供のころからずっと、
「一点に集中する」ことを学ばされてきました。

おそらくこれが得意な子は、
学校の成績も良かったことでしょう。

でもそれは裏を返せば、
刺激に対して過敏に反応する人間を育てていると言えます。

些細なことでキレる人を、
頻繁に見かけるようになりました。

もうそろそろ、

「本当の集中の仕方」

を学ぶ必要があるのです。

「視野全体を意識する」

ことや、

「静寂に耳を傾ける」

ことは、そのための第一歩。

ものの見え方や聴こえ方、
さらには感じ方を少しずつ変えていく。

その面白さを分かってもらえるような、
そんな脱力修練をしたいと思っています。

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続・静寂に耳を傾ける

こんにちは、ワタルです。

今回も前回記事に続いて、

「静寂に耳を傾ける」

というテーマで書いていきます。

(まだ、「耳を傾ける」ところまでいかないのですがw)

前回の内容を一言で言えば、

「刺激に対する反応の仕方を変える」

ために、

「視野全体を意識する」

ということを修練したというものでした。

そしてその修練をすることによって感じられたものが、

に書いてあることを試したときの感覚とよく似ていた、
というところで終わっていました。

その書かれていた内容というのが、

「対象物の形を捉えるのではなく、
対象以外の空間の形を捉える」

という「ものの見方」についてでした。

ちなみにこの本は、

「絵を描くのが苦手な人が上手く描けるようになる方法」

について、著者のワークショップにおける経験と、
脳科学の知見をもとに書かれたものです。

その方法の一つとして取り上げられていたこの「見方」
対象を「ポジ」とすると対象以外は「ネガ」ということで、

「ネガスペースを見る」

という呼び方をしていましたが、
これが今回の修練とよく似ていると感じたわけです。

この本によれば、

「対象の形を正確に描こうとすると、
かえって歪んだ像を描いてしまう。

けれども対象以外の空間の形を描こうとすれば、
結果的に対象の正確な像を描くことができる」

とあります。

これは脳の認知メカニズムに問題があるためで、
一般的な見方をしていると抜け出しにくいもののようです。

何かを対象として認識したときに、
ただそのものをありのまま見ることは困難です。

そこには様々な観念がまとわりついていて、
結果として歪んだ姿を脳内に映し出す。

これはその対象に集中すればするほど、
起こりやすくなる現象です。

集中するほどに、
周りとの「関係性」が見えなくなる。

「木を見て森を見ず」

なんて諺もありますよね。

そころがその対象の周りの空間を描こうとすれば、
同様の歪みは起こりにくくなります。

対象を描こうとしている時点で、
そのものには自然と十分な注意を向けている。

だからあとは、
その周りの空間との関係性に注目する。

そうすることで、
対象本来の姿が浮かび上がってくるというわけです。

ところがこれは、
意識的に練習しなければできるようになりません。

なぜなら脳は無意識的にその空間を、

「意味のないもの」

として認識し、
情報をシャットアウトしているからです。

ネガスペースを見ようと意識すると、

「そんなところを見ても意味は無いよ!!」

と、しきりに声を上げるのです。

ですがその声に耳を貸さずに、
ネガスペースを見続ける。

すると、今までとは違った正確な絵が描ける。

ということが、

「左脳の声を無視して、右脳で描く」

という表現を用いて、
この本の最初の方に書かれていました。

話が長くなりましたが、
これと同じようなことが修練でも起きたわけです。

攻撃してくる相手に集中するのではなく、
その周り全体を意識する。

それによって相手の攻撃に対する、
「怖い」とか「痛そう」といった余計なノイズを無視して、

「ただ、手や足を突き出している」

という、

「ありのままの姿」

を見ることができるのです。

(以下、次回へ右矢印

P.S.

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