「脱力」によって期待できる効果(その4)

練気武颯拳で脱力を修練することで期待できる効果の一つとして、

「姿勢が良くなり、肩こりや腰痛が改善する」

ということがあげられます。

肩こりや腰痛の原因は一つではありません。
内臓からのサインが肩や腰の痛みとしてあらわれていることもあります。

その場合はもちろん、
原因となる疾患を治療する必要があります。

ですが、ご存じのとおり、姿勢や使い方の問題も、
肩こりや腰痛を引き起こす大きな原因の一つです。

ここでは脱力を修練することによって、
姿勢・肩こり・腰痛の改善が見込まれる理由について説明します。

まず最初に、質問をさせてください。

「あなたの体重は、どこが支えていると感じますか?」

立っている時なら、脚でしょうか?
もしかすると、腰や膝だと答える方もいるかもしれませんね。

座っている時なら、お尻でしょうか。
ここでも、腰や背中だと感じる人もいるでしょう。

首や肩なんかは、
立っても座っても負担がかかっていると感じるかもしれません。

人によって、姿勢によって、
体重を支えていると感じる場所は違うと思います。

では、質問を変えてみます。

「あなたが疲れやすい、凝りやすい、痛みやすい場所はどこですか?」

多くの方が、
首や肩、背中、腰、膝のいずれかを挙げるのではないでしょうか。

そして、最初の質問の答えと二つ目の質問の答えは、
大体一致すると思います。

体重を支えていると感じるところは、
疲れやすく凝りやすく痛みやすいのです。

ところが練気武颯拳で脱力を修練すると、
体重を支えている場所が変わっていくのです。

その結果として姿勢が良くなり、
肩こりや腰痛が改善するのです。

では、一体どこで体重を支えたらいいのでしょうか?

(以下、次回へ右矢印

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重み伝達修練(練気武颯拳基本修練その5)

練気武颯拳の基本修練紹介、
今回の修練は、

「重み伝達」

です。

早速みてみましょう。

しっかりと立っている状態で差し出された相手の掌の上に、
脱力した手を載せます。

そしてそのまま、
ただただ力を抜いていきます。

もちろん、
相手に力を伝えるという意図は必要です。

意図が無ければ、
ただの腑抜けた手になってしまいますから。

ですが、腕の力で押し込んだり、
身体を前に傾けて体重を掛けたりはしません。

注意して見てほしいポイントは、
お互いの手の位置がほとんど動いていないという点です。

「手で押している」わけでなければ、
「手を押している」わけでもない。

立っている姿勢を変えないように、
相手に力が伝わるように、
ただただ力を抜くのです。

そうやって修練をしていると、
体の中に「流れ」を感じられるようになります。

この「流れ」が上手く伝わると、
相手は重心から動かされるのです。

練気武颯拳においては、
この「流れ」のことを「重み」と呼びます。

「筋力」からこの「重み」へと、
「力」の概念を変えてしまうこと。

それが、
練気武颯拳の修練における重要な目的の一つなのです。

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極められない腕修練(練気武颯拳基本修練その4)

練気武颯拳の基本修練紹介、
今回の修練は、

「極められない腕」

です。

では、修練動画を見てみましょう。

この修練は、
「曲げられない腕」の変形版と言えます。

「曲げられない腕」は相手の力を足裏から地面に流すことで、
「相手が地面を押している」という状態を目指します。

この状態をある程度感じることができるようになると、
次の段階として「極められない腕」の修練へと進むのです。

「曲げられない腕」においては、
相手は肘関節を「曲がる方向」に曲げようとします。

曲げられてしまっても折れることはないので、
力を抜くことに対する恐怖感は少ないです。

反対に「極められない腕」においては、
相手は肘や手首の関節を「曲がらない方向」に曲げようとします。

もちろん修練なので、
相手の力量に合わせてケガの無いように行います。

それでも、関節を逆に曲げられる恐怖感のため、
力を抜くことが難しくなります。

ですが、本当に力を抜くことができれば、
相手の力はやはり足裏から地面へと伝わります。

「曲げられない腕」は、
「極められない腕」でもあるのです。

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曲げられない腕修練(練気武颯拳基本修練その3)

練気武颯拳の基本修練紹介、
今回の修練は、

「曲げられない腕」

です。

早速修練動画を見てみましょう。

力を抜いて差し出した腕を、
力いっぱい曲げてもらいます。

この時に、本当に力が抜けていれば、
腕はそう簡単に曲がることはありません。

立っている状態で力が抜けていると、
腕にかかる力は足裏から地面へと伝わるからです。

ところが今までの記憶や習慣で、
どうしても腕に力を入れたくなってしまいます。

力を入れてしまうことで腕と身体が分離してしまい、
相手は腕だけを曲げることができるのです。

この「曲げられない腕」の完成度は、
武颯拳の技量と密接にかかわってきます。

「腕を触ればその人の技量はわかる」
とさえ言われます。

なぜなら、
腕は足裏(=地面)からもっとも遠い位置にあるからです。

その腕にかかる力を足裏(=地面)で受けることができれば、
他の部分でも同じことが可能だというわけです。

…なお余談ですが、
この「曲げられない腕」の出来が良くなるにつれて、
「肩こり」を感じることは少なくなっていきます。

腕に負担をかけることなく腕を使う修練なので、
当然と言えば当然ですよね。

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持ち上げられない身体修練(練気武颯拳基本修練その2)

練気武颯拳の基本修練紹介、
今回は、

「持ち上げられない身体」

です。

早速修練動画を見てみましょう。

まずは後ろから抱えあげられます。

次に、前から抱えあげられます。

いずれも、

「力を抜いて立つ」

ことを修練します。

力を抜いて、
自分の身体にどのような力が加わっているのかを感じます。

そうすると少しずつ、

「どこがどのように動いて持ち上げられるのか」

を感じられるようになってきます。

それがわかれば、
そこさえ動かないように意識し続けることで、
簡単には持ち上がらなくなります。

この修練においても大切なことは、

「脱力」と「注意観察力」

なのです。

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養体修練(練気武颯拳基本修練その1)

今回からは、
練気武颯拳の基本修練をご紹介します。

最初にご紹介するのは、

「養体修練」

です。

まずはどのような修練なのかを見てみましょう。

「えっ、たったこれだけ!?」
と思われるかもしれませんね。

やっていることは、
ただ力を抜いて立っているだけ。

脚や腕を持ち上げたり、
横から押されたりしても、
ただ力を抜いて立ち続ける。

見ての通り、とても地味な修練です。
ですが、本当に奥の深い修練です。

「ただ力を抜いて立つ」ことができないのです。
一度やってみるとわかります。

別に無理やり持ち上げようとするわけでもないのに、
むしろ、丁寧にじっくりと持ち上げてくれているのに、

なぜか力んでしまうのです。

その力みを感じて、
それがどこから生まれるのかを観察する。

そして少しでも力みを取り去り、

「ただ力を抜いて立つ」

ことに近づこうとするのです。

「力を抜いて立っているだけで、
身体が勝手に外部からの刺激に対して最適な反応をする」

という状態を目指す修練、
それが「養体修練」なのです。

練気武颯拳の修練は、

「養体に始まり養体に終わる」

と言っても過言ではありません。

この「養体」が崩れてしまうと、
どんな技も「武颯拳」の技とは言えません。

逆に、「養体」が崩れない人が行う動きは、
全て「武颯拳」の技だと言えます。

突き、蹴り、投げ、寝技、全ての修練の前提となるのがこの、

「養体修練」

なのです。

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「脱力」によって期待できる効果(その3)

3.新しい感覚に気づくことができる

脱力感覚を磨く修練は、
自分に対する注意観察力を研ぎ澄ませていきます。

その結果として知覚能力が上がり、
今までにない感覚に気づくことがよくあるのです。

その最たるものが、
「気(のようなもの)」だと言えるでしょう。

ただ、私自身が気功の修練をしているわけではないので詳しくは触れないでおき、
もう少し具体的な感覚についてお話します。

脱力感覚を磨くことで得られる感覚の一つに、

「力が通る」

という感覚があります。

感覚を言葉で伝えるのは難しいのですが、
出来るだけわかりやすく説明したいと思います。

今、目の前に壁があるとイメージしてください。
大きく立ちはだかる、しっかりとした壁です。

あなたはこの壁を両手で精いっぱい押します。
ですが、もちろんビクともしません。

近くに壁があるという人は、
実際にやってみてください。

壁が近くに無い人も、別に壁でなくても構いません。
力いっぱい押しても全く動かないものならOKです。

イメージしたり、押してみたりできましたか?

この時、あなたは何を感じたでしょうか。

まずは壁からの抵抗ですよね。

自分が壁を押すことにより、
両手に壁からの抵抗として圧がかかります。

他には、腕や肩の筋肉の緊張。
人によっては背中、腰、お尻、脚の緊張が感じられたと思います。

多くの場合はこのように、
自分の「力み」と物体からの「反作用」を感じます。

そしてそれらの感覚を、
「力」だと思っているのです。

ところが脱力感覚を感じられるようになると、
「力」に対する認識が変わります。

「力み」や「反作用」ではなく、
作用している「力」そのものを感じるようになるのです。

上の例においては「反作用」だけでなく、
壁の中に向かって働く自分の「力」を感じられます。

自分の「力」が、
長さと方向を持った「ベクトル」として認識されるのです。

その「ベクトル」は、
壁が動こうが動くまいが関係なく作用しています。

あなたが壁を押している限り、
壁にもあなたにも「ベクトル」は働いているのです。

学校の物理で習った、
「作用・反作用の法則」というやつです。

脱力感覚を修練することで、
物理法則がその通りに感じられるようになります。

この感じを身近な言葉に置き換えると、

「力が通る」

という表現になるのです。

では、改めて壁を押してみてください。
もちろんイメージでも構いません。

その時に、自分に返ってくる反作用と同じだけ、
壁にも「力」が通っていることを思い出してください。

そして、通っている「力」の方を、
より感じようとしてみましょう。

きっと、最初とは違う感覚を感じて頂けると思います。

こうやって少しずつ自分の感覚が変わっていくことも、
武颯拳を修練する楽しみの一つだと思います。

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「脱力」によって期待できる効果(その2)

2.今より楽に動くことができる

脱力感覚を身に付けることで、
今より楽に動くことができるようになります。

その理由の一つは「感覚」にあります。

動くことが「楽ではない」という状態を考えてみてください。
ツラかったり、しんどかったりしますよね。

この「ツラい」「しんどい」という「感覚」は、
力みによって生み出されるのです。

例えば、ほこりを払うつもりで、
右手を目の前に挙げてみてください。

そのまま今度は左手を、
とても重たいダンベルを持っているイメージで、
同じように目の前に挙げてください。

どちらの手がしんどいと感じますか?
ほとんどの方が左手ではないでしょうか。

この時の感覚を左右それぞれ、
よく感じてみてください。

左手の方が明らかに力んでいますよね?

これで、力みが「ツラい」「しんどい」感覚につながることを、
理解していただけたと思います。

もちろんこの場合はイメージによって、
普段よりも力んだ状態を作り出したわけです。

しかし、私を含めてほとんどすべての人は、
無意識に力んでしまっているのです。

そしてそれが当たり前になってしまっているので、
より楽に動けるということを忘れているのです。

脱力感覚を身に付ける修練は、
自分が不必要に力んでいるということに気づく修練です。

力んでいることに気づいたら、
やめることができます。

その結果、
今よりも楽に動けるようになるのです。

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「脱力」によって期待できる効果(その1)

練気武颯拳においては、

「脱力感覚」

を身に付ける修練を行っていきます。

それによって、
以下のような効果が期待できます。

1.リラックスを得られる

2.今より楽に動くことができる

3.新しい感覚に気づくことができる

なぜ「脱力感覚」を身に付けることでこのような効果が期待できるのか、
その理由をみていきましょう。

1.リラックスを得られる

「リラックス」という言葉で思い浮かぶのは、
どんな状態ですか?

多くの場合、

お風呂に入っている時、
ベッドで横になっている時、
ソファでくつろいでいる時、
家族と過ごしている時、

などが挙げられるのではないでしょうか。

これらをイメージして、
その時に感じられるあたたかい、
落ち着いた感覚。

これが「脱力感覚」の一部です。

「脱力感覚」≒「リラックス」
というわけです。

だから、「脱力感覚」を身に付けると「リラックスする」というのは、
当然と言えば当然の話。

こういってしまうと、
「そんなもの、わざわざ修練する程のものではない」
と言う方もいらっしゃるかもしれません。

これはある意味正しいご指摘なのです。

練気武颯拳の修練は、
「もともと出来ること」を「当たり前にやる」ための修練なのですから。

「脱力感覚」についても、
「もともとあるもの」を「いつでも感じられるようになる」ために修練するのです。

ではもう一度、
「リラックス」している時を思い浮かべてください。

ほとんどの方が、
「座っている」か「寝ている」状態を思い浮かべたのではないでしょうか。

「立っている」状態を思い浮かべた人はかなり少ないと思います。

つまり、「立つ」という姿勢を取っただけで、
「リラックス」することは難しいものになってしまう。

誰でも感覚としては持っているけれども、
条件次第で簡単に忘れてしまうもの、

それが「脱力感覚」なのです。

そこで、練気武颯拳の修練では、
様々な条件の中で力を抜くことを行います。

身体に対する負荷がかかっている状態でも忘れないような、
「脱力感覚」を身に付けるのです。

それは、普段の生活における様々なストレスをリスクのない形で疑似体験しながら、
その最中に「リラックス」することを学んでいるとも言えます。

もちろん一朝一夕に身につくものではありませんが、
修練後は確実に心も体も軽くなります。

そして、回数を重ねるほどに、
「脱力感覚」は持続するようになります。

日々の生活におけるストレスの影響を最小限にとどめる。

さらに、出来る限りすばやく「リラックス」した状態に戻る。

これが「脱力感覚」を修練することで期待できる効果の一つ目です。

P.S.

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自分を客観視する(練気武颯拳を修練することで得られるもの)

つまり、「力み」を取り去る「脱力修練」は、
「前提」や「当たり前」、「常識」を取り去る修練なのです。

そのために、自分自身に対する注意観察力を磨いていく。

それはすなわち、
「自分を客観視する」ということ。

様々な刺激・情報に対して、
自分はどのような反応を選択しているのか。

自覚の有無にかかわらず常時行われているこれら無数の選択を認識し、
その傾向を把握すること。

これこそが、「今の自分を変える」ための重要なカギなのです。

「今の自分」とは、
「今までの選択の結果」です。

そこには選択の「傾向」があり、
その「傾向」どおりの選択をすると「自分らしい」と感じる。

ということは、その「傾向」を認識して、
そこから外れた選択をするならば…?

そう、「自分を変える」ことができるのです。

話が長くなりすぎたので纏めます。

武颯拳においては、「脱力」を修練します。

それは「前提」や「常識」、
「当たり前」を変えるということです。

なぜなら、「力み」は当たり前過ぎて気付けないものだから。

そのために、自分に対する注意観察力を磨いていきます。

武術という相手と向き合う関係の中で、
自分を客観視することを学んでいくのです。

その過程においては、様々な気づきや発見があります。

普段の何気ない仕草や習慣の背景が見えてきたりします。

それは好奇心を刺激する場合が多いのですが、
時には痛みとして感じられることもあるかも知れません。

でも、全く痛みを感じないということは、
本質は何も変わっていないということ。

痛みこそが、変化の証なのです。

だから、恐れる必要はありません。

痛みや変化そのものに心を奪われることなく、
ただ、自分を注意深く観察し続ける。

それが「脱力」の修練であり、
「自分を変える」ことだと思います。

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