相手の立場に立つ

相手の立場に立つ

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「相手の立場に立つ」

ということについて書いていきます。

私はこれまで、
この言葉があまり好きではありませんでした。

なんとなく相手に気を使ってばかりの、

「弱いイメージ」

しかなかったからです。

けれども本当は、
そうではなかったのです。

「相手の立場に立つ」

ことは結果として、

「自分が強くなる」

ということに気づいたのです。

以下、その理由について書きたいと思います。

前回の記事、

「カラダに働くテコの原理」

において、楽に大きな力を発揮するためには、
無意識に設定しているテコの原理を変えること、

つまり、

「見方を変える」

ことが必要であると書きました。

けれどもこれが、
意外に難しい。

それは、

「自分が何かをする」

という状況においてはすでに、

「テコの設定は終わっている」

から。

何かをしよう、動かそうと思った時にはもう、
どのように動くかは決めてしまっているのです。

そしてそのタイミングで違う動きをしようと思っても、
一度決めたことを変えることは難しい。

結果としていつもの自分と同じ動きか、
それよりもぎこちない動きになってしまいます。

そこで役に立つのが、

「相手の立場に立つ」

という考え方です。

これはみなさん、
子供のころから繰り返し言われてきたと思います。

そう、

「自分がされて嫌なことは、他人にもしない」

というやつです。

ですが武術の修練では、
これと逆のことをします。

例えば手首を両手でつかまれて、
それを上に挙げるという場合。

同じような体格の場合、
普通に動くと腕を挙げることは難しいです。

そこで一度、

「相手の立場に立つ」

ということをやってみるのです。

手首を両手で掴まれた状態で、
意識だけ自分の手首を掴んでいる側に回ってみる。

そして、

「こんな風に動かれたら押さえられないな」

と感じる通りに自分の身体を動かす。

すると思ったよりも楽に、
腕を挙げることが出来るようになります。

そして人によっては、
最初に自分が腕を挙げようとした動きとは、
随分違う動きになることに気づくのではないでしょうか。

この「違う動き」こそが、
「合理的なテコ」を使った動きなのです。

相手の側に立つことで自分の「思い」を外すことが出来た結果、
「不合理なテコ」から「合理的なテコ」へと設定しなおすことができる。

このように、自分の思い通りにやろうとすると上手くいかないことが、
相手の立場に立つと上手くいく。

武術で言えば、自分勝手な技ではなく、
本当に相手に効く技になるわけです。

これって、

「強い」or「弱い」

のどちらになりますか?

私はこれが、

「強い」

ということだと思います。

日々生活していると、
本当に様々な状況に直面します。

その状況の中で、
自分の「思い」だけで判断するのではなく、

「状況の側から自分を見る」

つまり、

「相手の側に立つ」

ことで、
よりその場に合った判断が出来るのではないでしょうか。

ただこのような「気持ち」とか「考え」といった、
きわめて「主観的」なことというのは、

「本当に出来ているかどうか」

の判断が非常に難しいです。

ハッキリ言ってしまえば、

「出来た気になりやすい」

のです。

そこで、そのトレーニングに最適なのが、
武術修練だと言えます。

カラダを使ってチェックをしながら行うことで、

「出来た気になる」

という落とし穴にはまらずに済むのです。

というわけで、

「相手の立場に立つための武術修練」

やってみませんか!?

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「カラダに働くテコの原理」

ハンマー

 

こんにちは、ワタルです。

今日は、

「カラダに働くテコの原理」

について書いていきます。

現時点で私が理解している、
武術の技の基本的な原理は次のようなものになります。

「重力をテコの原理で増幅・変換して扱う」

例えば前に伸ばした腕を相手につかまれて、
それを下に落とすという場合。

普通の動き方をすると、
相当な力の差が無い限りは落とすことが出来ません。

けれども見方を変えて、
自分の身体を落とすように使えば、
意外と楽に腕を落とすことが出来ます。

これを例えて言うなら、
巨大なヘッドの付いた柄の長いハンマーを、
いきなり相手に持たせるイメージ。

突然こんなものを持たされたら、
よろけてしまいますよね。

それはハンマーの重さだけではなく、
柄の長さによるテコの原理が働いているから。

同じように、つかまれた自分の腕を落とす時でも、
腕の長さによるテコが働くように身体を落としていく。

すると相手は重心を崩されるので、
腕を支えることが出来なくなるのです。

このように、自分の体重(≒重力)を力点とし、
作用点と支点が相手側にあるようなテコを働かせることで、
技がかかりやすくなります。

ちなみに支点を作用点よりも遠くに置くと下げる力に、
近くに置くと上げる力になります。

以上が、

「カラダに働くテコの原理」

の簡単な説明になります。

ただしこれは、
私が理解している程度の話。

武術本来のカラダの使い方から見れば、
ごくごく初歩に過ぎないでしょう。

けれどもこんな初歩的なことでさえ、
私自身これまでの習慣が邪魔をして、
当たり前に使いこなすことが出来ません。

いちいち見方を切り替えないと、
「不合理なテコ」を使おうとしてしまうのです。

ところがこの「見方を切り替える」ということが、
理解はしてもなかなか実践できません。

そこで次回は、

「見方を変えるための考え方」

について書きたいと思います。

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発勁(沈墜勁)のイメージ

発勁

 

こんにちは、ワタルです。

久しぶりのブログ更新となる今日は、

「発勁(沈墜勁)」

という、いかにも武術らしいテーマで書きます。

神戸修練会における最近の修練では、

「押さえられた骨盤を動かす」

ということを繰り返し行っています。

仰向けに寝ている状態で上から骨盤を押さえられると、
普通に動こうとしても簡単には動けません。

そこで必要になってくるのが、

「骨盤と肋骨がバラバラに分かれて動く」

ことなのです。

その為には骨盤と肋骨の間の部分が、
脱力して緩んでいることが重要です。

お腹や腰周りの力を抜いて、
押さえられていることに関係無く動く。

何度も繰り返し練習することで、
骨盤をより自由に動かせるようになってきます。

そして骨盤が自由に動く状態になると、

「腰を落とす」

という言葉の意味がわかってくる。

私が修練を始めた当初から、

「股関節を抜いて腰を落とすことが発勁の基本」

だと教えられてきました。

たしかに腰を沈めるように動かすことで、
普段よりも大きな力を出すことは出来ます。

けれどもそれはあくまで、

「腰を沈めただけ」

であり、

「発勁」

とは程遠いものです。

しかし肋骨と骨盤の間が十分に緩めば、
話しは違ってきます。

腰は「沈める」のではなく「落とす」のです。

それをあえてイメージで説明すると、
次のようになります。

何か、重たい荷物を思い浮かべてください。

あなたはそれを、紐でくくって持っています。

少し紐が長すぎて持ちにくいので、
手元で紐を束ねるようにして持ちました。

ところが手が滑って、
紐が一気に伸びて重たい荷物が落ちる…。

仮にこの荷物が60kgあったとしたらどうでしょう。

それを支えるのは相当大変ですよね。

60kgの荷物を持ち上げるのと、
落ちてくる60kgの荷物を受け止めるのでは、
その負荷は全く違ったものになります。

この、紐でくくった荷物が落ちるように、
自分の腰を落とすのです。

この時に生じる力を、
腕や脚に伝えて使う。

それが、

「発勁(沈墜勁)」

だと言えます。

私自身はまだまだ自由に腰を「落とす」とまではいきませんが、
正しい修練を続ければそれが出来るようになると、
ハッキリと確信しています。

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