こんにちは、ワタルです。
今回のテーマは「感覚の嘘」。
自分の主観的な感覚を、客観的な事実に近づけていく。
これは特に武術の修練に限らず、
何かに取り組み上達する為に必要なこと。
というよりも、このこと自体が上達なのだ。
最近の修練において、強くそう感じるのです。
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武術やスポーツなどの身体運動においては、
自分の感覚が運動力学という物理法則に近ければ近いほど、
そのパフォーマンスは上がる。
しかし私のようにもともと運動が得意ではない人は、
感覚と物理法則との距離が大きく離れている。
その距離をハッキリと感じるのが、
自分のカラダに対しての「重さ」の感覚です。
例えば相手にカラダを持ち上げらるという修練において。
この修練の目的は、自分のカラダが簡単には持ち上げられない状態になること。
単純に言えば、重たいカラダになる修練だと言える。
もちろん自分の体重を自由に変えられるわけではないので、
正確には「相手が重たいと感じるカラダになる」ことが目的。
先に言うと、私自身はこの修練が苦手です。
相手が重たいと感じるようにするために、
どうしても「自分が重たいと感じる」ことをしてしまう。
すると、持ち上げる方としては楽に上げることが出来る。
そんなことを学習もせずに延々と繰り返してきたのだけれど、
最近ようやく理解しました。
「自分が感じる重さと相手が感じる重さとは違う。」
自分の腰が重いと感じる時、相手は私の腰を軽いと感じている。
逆に自分の腰が軽く感じるように力を抜くと、
相手は私の腰を重いと感じる。
そう、「感覚は嘘をつく」のです。
この、自分の感覚と相手が感じるものとのギャップは、
すなわち感覚と物理法則との距離。
そしてこの距離を縮めていくこと、
つまり自分の感覚に対する認識を変えていくことが、
本当の意味での上達だと言えるのです。
そしてこの「感覚の嘘」は下向きの力である「重さ」だけでなく、
あらゆる方向への「力」全般に存在します。
例えば歩いている時の足の裏。
普通はギュッと地面を押している時に、
前へ進む力が出ていると思いますよね?
でも実際にはギュッとなった足裏が、
徐々に軽くなって地面から離れていく過程で力が出る。
このような力に対する感覚の嘘を暴いていくこと。
それが、脱力修練なのです。
ちなみに流行りの健康法にはとかく、
一人でできることを謳ったものが多いですよね。
けれども自分の感覚がここまで当てにならないものだから、
やはり修練には相手が必要なのです。