「重力感覚」による身体認識への移行

「重力感覚」による身体認識への移行 

こんにちは、ワタルです。

今日は、「重力感覚による身体認識への移行」について書きます。

上の絵は、地球上すべてに働いている重力のうち、

自分に働いている部分を手掛かりとして、

身体を認識しているというイメージです。

 

何を手掛かりとして自分の身体を認識し、動かしているのか

これが、最近の修練において重要だと感じていることです。

この、自分の身体を認識するための手掛かりには、

幾つかのものが考えられます。

もちろん「視覚」、つまり見えていることによる自己認識もありますが、

ここではそれ以外の手掛かりについて考えていきます。

 

身体認識の手掛かりになり得る感覚

一つは、「触れている」という感覚。

例えば立っている時の足裏や、物を持っている時の手のひら。

座っている時のお尻や背中、寝ている時であれば布団に触れている部分すべて。

こういった、何かに「触れている」感覚があるところについては、

まちがいなく「自分の身体」だと思えるわけです。

 

次に考えられるのが、「温かい」あるいは「冷たい」という感覚。

冷え性で足がよく冷えるという方にとっては、

その冷えている感覚があるところは間違いなく自分の足だと感じられます。

逆にのぼせやすい人だと、頭や顔の温かい感覚によって、

それが自分の頭や顔だとハッキリわかるでしょう。

 

3つ目としては、「痛み」が挙げられます。

例えば胃腸の調子が悪い時、普段よりもはっきりと胃の存在を感じますよね。

腰やひざが痛くても、同じことが言えます。

 

最後に挙げられるのが、「力み」の感覚です。

上の3つ以外(視覚も除く)で自分の身体を感じる最も確か(だと思える)手掛かりが、

「力が入っている」という感覚です。

おそらく私自身も含めたほとんどすべての人が、

この「力み」の感覚によって自分の身体を認識しているでしょう。

 

身体運動における手掛かり

その時々の状況によって優先順位は変わってくるにしても、

以上4つの手がかりによって、人は自分の身体を認識しています。

そして「運動」という場面においては、

「触れている」感覚と「力み」の感覚が主な手掛かりだといえます。

だから私たちが身体を動かす時には、

これら2つの感覚を動かそうとしているのです。

これではリラックスなんて出来るわけがない。

「肩の力を抜きなさい」

と監督やコーチに言われても出来ないのは、

「肩の力を抜けば、どこを動かしていいのかわからなくなるから」

なのです。

そして同じことが、「脱力」を修練している私自身にも言えるわけです。

 

「重力感覚による身体認識への移行」

残念ながら私たちは、刺激が無ければ自分の身体を認識することは出来ません。

光の刺激(視覚)や圧刺激(触れた感覚・力み感覚)、

痛みや熱といった刺激を感じることで自分の身体だと感じているわけです。

そこでこれら以外の刺激、しかもいつでもどこでも同じように存在する刺激があれば、

そしてその刺激を手掛かりとして身体を認識することができれば、

力むことなく合理的に身体を動かすことができるのではないかと考えられます。

その、なんとも都合の良い刺激こそ「重力」です。

少なくとも地球上にいる限りはいつでもどこでも同じように作用する重力。

この力を手掛かりとして自分の身体を認識すれば、

原理上、力むことは全く必要なくなります。

「下に引かれている感覚」自体を自分の身体だと感じられれば、

ただその感覚を動かせば身体が動くのですから。

そうやって動いた感覚は、

おそらく今までの運動感覚とは全く違ったものになるでしょう。

楽に軽々と動いているのに、ものすごい大きな力が発揮される。

「重力感覚による身体認識への移行」は、

私達の身体運動の次元を大きく変えてくれると期待しています。

 

 

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