「位置感覚」を鍛える

こんにちは、ワタルです。

今日は「位置感覚」をテーマに書いていきます。

これは最近の脱力修練において、
私が重要だと感じるものの一つです。

一言でいえば、

「どこに向かって力を加えるのか」

ということ。

この感覚が正確であればあるほど、
狙ったところに大きな力を発揮することができます。

逆にこれがあいまいな場合は、
頑張っている割に大した力が出ないということになります。

あなたの周りにもいませんか?

細かったり小柄だったりするのに、
見た目以上に力の強い人が。

あるいは逆に筋肉がたくさんついている割には、
意外と弱く感じる人が。

こういった現象を説明する指標の一つとして、

「位置感覚の明確さ」

があると考えます。

パンチを例にとってみましょうか。

軽量級のボクサーの多くは、
一般的な人よりも細くて小柄ですよね。

相当に鍛えているとはいえ、
筋肉量だけを見るとそんなに多くはないです。

ですがボクサーのパンチには、
一般の人のそれとはまったく違う威力がありますよね。

それはもちろん拳の速度が違うからだとも言えますが、
それだけではありません。

腕を素早く動かすだけなら、
腕の力を抜いたまま腰を切ればいい。

おそらく普通の人でも、
それなりに早いパンチを打つことはできます。

ですがそれだと、「威力」はでません。

せっかく腕の力を抜いて拳を素早く打ち出しても、
対象に当たるときに力んでしまうから。

力むことで、
自分でパンチを止めてしまうのです。

では力まずにそのままパンチを打てばいいのか?
というとそうでもありませんよね。

一般の人がサンドバッグをたたくと、
手首を痛めることがよくあります。

手首が「グニュッ」と曲がってしまうわけですね。

つまり、「力む」とパンチを止めてしまうし、
「抜く」と自分の手首を痛めてしまう。

このアンビバレンツな状況を打開するのが、

「位置感覚」

なのです。

この場合だと、
主に「拳の位置感覚」を鍛えればいいのです。

自分の感覚として、

「ここに拳がある」

ということがハッキリと分かるほど、
そこに威力を載せることが怖くなくなります。

なぜなら威力そのものが、
自分の拳を支えてくれるから。

ですが拳の位置感覚がないままパンチを打つと、
威力の方向がずれている為に、
余分な筋収縮で手首を護る必要があります。

その結果として、
自分でパンチの威力を減らしているのです。

つまり強いパンチを打つためには、

「拳を素早く打ち出すこと」

だけでなく、

「拳の位置感覚を鍛えること」

が必要だと言えます。

もしかすると「拳立て伏せ」というのは、
本来そのためのトレーニングなのかもしれませんね。

ここまではパンチを例にとって説明しましたが、
もちろんそれ以外にも応用はできます。

足の位置感覚がはっきりとすればするほど、
例えばサッカーの足技は上手くなるでしょうし、
それ以前に走ることが速くなりますよね。

手の位置感覚を鍛えれば、
ボールを投げたり打ったりするのにも効果があります。

なぜならほとんどの場合、
自分の手足の位置感覚が「あいまい」だから。

例えば気功のパフォーマンスや練習で、
指一本で人を動かすようなものがありますよね。

気功師の方はそれを当然、

「気の力です」

なんて言うわけですが、
別に気の力で無くても出来るのです。

自分の指先の位置感覚がハッキリとあって、
そこに向かって体重を載せることが出来さえすれば。

ただそのためには、
余計な筋収縮をやめていく必要があります。

筋収縮が多ければ多いほど、
それは感覚的なノイズになって、
位置感覚をあいまいにしてしまうから。

力を抜いて、
自分の感覚として明確に身体を認識する。

それが、

「位置感覚を鍛える」

ために必要なことなのです。

そして明確な位置感覚をつかむことが出来れば、
それを持っていない人に対しては大きなアドバンテージを得られます。

なぜなら普通は、

「どうやって力を出すか」

ということにしか意識が向いていないから。

そんな中で、

「どこに向かって力を出すか」

というトレーニングのもう一つの軸に気づけたら、
他とは差がついて当然ですよね。

そして武颯塾で行う脱力修練は、
この二つの命題の両方に取り組めるものです。

興味のある方は是非一度、
体験にお越しください♪

以上、

「位置感覚を鍛える」

でした。

P.S.

もっと多くの方に来て頂いて、
より幅広く学べる環境。

さまざまな取り組みをされている人たちが、
「脱力」というキーワードで交流できる場所。

武颯塾大阪支部と神戸修練会を、
そんな場所にしていきたいと思っています。

このブログを読んで興味をお持ちでしたら、
ぜひ、ご連絡ください。

修練参加でも、質問でも何でも結構です。

ピンとくるものがあれば、
遠慮なくメールをください。

musou-tensei@eurus.dti.ne.jp

楽しみにしております!!

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

太極拳において目指す身体の在り方が映像で

力を抜くとパフォーマンスが落ちるのか!?

こんにちは、ワタルです。

昨日の武颯拳の修練において、
ある人からこんな質問を受けました。

「脱力修練をすることで筋トレやランニングをやめると、
一時的にパフォーマンスが落ちるのは仕方ないことですか?」

力を抜く修練をしていると、
多くの人が同じ疑問を持つようです。

私自身も同じように考えたことがありました。

そこで今回の記事では、

「力を抜くとパフォーマンスが落ちるのか!?」

という疑問について、
分かる範囲で書いていきます。

まずは昨日の質問における、
「ランニング」と脱力との関係について整理しましょう。

ランニングの主な目的は、
「走る」という運動をより上手く行うことと、
心肺機能の向上により持久力をつけるということにあります。

脱力修練を正しく行えば、
走ること自体は上手くなりますが、
残念ながら持久力がつくとは言えません。

したがってランニングをやめてしまうと、
以前よりバテやすくなるのは仕方がないです。

競技としてのスポーツに取り組んでいる方であれば、
ランニングやそれに代わる形での心肺機能の維持は必須であり、
これを脱力修練で代替することは困難だと考えます。

※脱力修練をランニングに活かすことは当然可能です

続いて「筋トレ」と脱力修練との関係ですが、
「筋肉をそれぞれ個別に鍛える」という発想と脱力修練は、
基本的に相容れないものです。

それは以前の記事「身体のレバレッジを効かせる」で書いたように、
力を発揮するメカニズムが異なるからです。

もちろん負荷をかけた運動そのものに意味がないというのではなく、
あくまで別のメカニズムで動いているということを言いたいのです。

したがってメカニズムを入れ替えた人にとっては、
例えばダンベルを挙げることも脱力修練として成り立ちます。

ですがそうではないほとんどの人たちにとって、
筋トレは脱力修練を阻害するものになってしまうのです。

ただ、これまで筋力をベースとして動いてきた人については、
いきなり力を抜くように言われると、
思ったように身体を動かすことが出来なくなります。

ボールを蹴る、打つといったある目的に対して、
これまでは半ば自動的に行ってくれていた運動を、
一から見直そうというわけですから。

それが結果として、

「パフォーマンスが落ちた」

と感じさせるのでしょう。

しかし正しく脱力修練に取り組めば、
それが勘違いであることは、
少なくとも理屈の上では理解できるはずなのです。

それが難しく感じてしまうのは、

「力を抜く=フヌケになる」

という先入観が根強くあるから。

それは言い換えると、
「筋力」「意志」とがごちゃ混ぜになっているということ。

「筋力」をやめたからといって、
「意志」までやめる必要はないのです。

余計な「筋力」をやめて、
「意志」そのものが働いている状態。

この状態こそが、
純粋に「動く」ということなのです。

つまり、

「力を抜く=思い通りに動く」

のだと言えるのです。

(これを実感する方法としては、
例えば「指一本で人を動かす」といった、
「今までの感覚では出来そうにないこと」
が役に立ちます。)

このことが理解できると、

「力を抜くとパフォーマンスが上がる」

のは当然のことだと感じられるようになります。

なぜなら、
より思い通りに動けるようになるのですから。

もちろん修練の中では、
思い通りにいかないこともたくさんあります。

「筋力」「意志」を分けることも、
ある程度の時間と労力が必要でしょう。

ですが、これまで「筋トレ」に使っていたそれを、
思い切って脱力に振り向けてみればどうでしょうか。

もちろん理屈の上でも納得した上で。

今まで限界だと思っていたところが、
実はそうではないということに、
きっと気づけると思いますよ♪

P.S.

もっと多くの方に来て頂いて、
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