こんにちは、ワタルです。
今日は、
「テコの原理を武術に活かす」
ということについて書きます。
まずは、こちらの動画をご覧ください。
これは「拳鉄槌(けんてっつい)」という、
武颯拳の型の中にある動きの練習をしているところです。
動きを簡単に説明すると、
「しっかりと両足を前後に開いている相手が、
両手を重ねてお腹の前に置いて踏ん張っているところで、
その手の上に拳を載せた所から一気に下方に落とす」
ということになります。
よほどの体格差や筋力差がない限り、
普通の筋力運動では落とせないと思います。
そこで脱力による力である、
「勁力(けいりょく)」
を使うのです。
この「勁力」を使うことが出来れば、
今までの自分では考えられないような力が出せます。
女性が男性を投げるということも、
原理的には可能なのです。
ただそうはいっても耳慣れない言葉ですし、
どのような力なのかイメージしにくいと思います。
そこでここの所何度も書いている、
「テコの原理」
を使って勁力の説明をしたいと思います。
動画にも簡単なキャプションをいれていますが、
この動きの重要なポイントは、
「腕の力を抜いたままにしておく」
ということと、
「股関節を一気に開いて落とす」
ということの2点です。
ところがやってみると、
これは意外と難しいのです。
まず、どうしても腕に力が入ってしまう。
「拳で相手を落とすのだから、
腕に力を入れないと落ちるわけがない」
と思ってしまうのです。
さらには股関節を一気に落とすことができない。
股関節自体が自由に動くという、
「発想」を持つことが難しいから。
これらの問題がなぜ起きるのかというと、
「支点の位置を身体の中心側においているから」
だと言えます。
下の写真を見てください。
(クリックすると拡大されます)
支点を身体の中心である腰や股関節周りにおいて、
作用点を拳においています。
そして身体の前面の筋肉である腹筋や胸筋、
そして肩や腕の筋肉を力点として使用しているのです。
この写真の形で下向きに押そうとイメージすると、
肩や胸、お腹の筋肉が固くなりそうな気がしませんか?
これが原因で、
腕の力を抜けないのです。
また腰や股関節を支点として扱っているので、
股関節を自由に動かすことも難しくなります。
では、次の写真を見てみましょう。
(おなじくクリックで拡大されます)
この場合は、
支点を拳に設定しています。
注目してほしいのは、
作用点を相手の中心においていること。
そして自分の中心である腰や股関節周りを、
力点として動かしているのです。
支点は自分からは動かさないので、
腕に力を入れる必要はありません。
また腰や股関節周りは力点なので、
大きく動かすことができます。
もちろん最終的には相手が崩れて作用点が大きく動き、
なおかつ力点は現実的にはそこまで位置は変わらないので、
結果として支点である拳は下に落ちることになります。
ただそれはあくまで、
「股関節が動き、相手が崩れた結果として拳が落ちる」
ということなのです。
拳を落として相手を崩すという一般的なイメージとは、
全く逆の順序ですよね。
そこに働いているテコの原理も、
全然違う形になっています。
ですがこの「勁力」を理解して身に付けることで、
大きな力を出せるだけではなく、
身体に負担の少ない動き方ができるようになります。
スポーツをやっている人であればケガが減りますし、
そうでない人も肩コリや腰痛が楽になります。
そんな修練を、
一緒にやりませんか♪
※ここで説明している「勁力」については、
私が理解できている範囲でのものになります。
実際にはもっと奥深いものでありますので、
ここでの説明よりも踏み入った内容につきましては、
武颯塾大阪支部にて茂呂師範に伺って頂きたいです。
P.S.
もっと多くの方に来て頂いて、
より幅広く学べる環境。
さまざまな取り組みをされている人たちが、
「脱力」というキーワードで交流できる場所。
武颯塾大阪支部と神戸修練会を、
そんな場所にしていきたいと思っています。
このブログを読んで興味をお持ちでしたら、
ぜひ、ご連絡ください。
修練参加でも、質問でも何でも結構です。
ピンとくるものがあれば、
遠慮なくメールをください。
楽しみにしております!!
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太極拳において目指す身