「できる自分」で居ようとすることをやめる

こんにちは、ワタルです。

前回記事(「動かす自分」と「動かされる自分」を分ける)の冒頭では、
ここ半年くらいの個人的な修練テーマの変遷について書きました。

今日はその中から、

「『できる自分』で居ようとすることをやめる」

ということについて書きます。

仕事、勉強、部活、人間関係。

年齢性別を問わず多くの人が、
「できる自分」で居ようとしているのではないでしょうか。

少なくとも私自身は、
仕事や勉強については間違いなくそうだったと思います。

仕事であれば、
どれだけ早く、かつ正確な仕事ができるか。

勉強であれば、
どれだけ少ない労力で良い成績をおさめられるか。

そういったことに重点を置いて、
これまで生活してきました。

人の能力というのは不思議なもので、
そこに意識を向けてあげればちゃんと応えてくれる。

ですからおそらく、
私が思う形での良い仕事や良い成績という結果は出していたと思います。

しかしその反面、
意識を向けてこなかった部分については、
向けなかったなりの結果しか得られませんでした。

それはたとえばサラリーマン時代の職場においては、
希薄な同僚との人間関係という形であらわれていました。

「仕事さえできれば良い」

という考えでピリピリした雰囲気を醸し出していれば、
周りに人がいなくなるのも当たり前ですよね。

こんな私の例をみてもらえればわかるように、
意識を向けた部分と向けない部分で、
得られる結果は大きく変わってくるのです。

そして人の意識の量というのは、
ある時点においては有限です。

もちろん修練を重ねていくことで、
人の意識は成長していきます。

しかしある時点に限って言えば、
やはりその量には限りがあると言わざるを得ません。

その中である人は私のように仕事や勉強の成果に意識を向け、
他のある人は家族や友人との人間関係を良くすることに意識を向けるのです。

時代の流れでいえば、
製造業全盛の時代においては前者が、
サービス業全盛の現代においては後者が求められていると言えます。

ただここでは、
どちらの方が優れているというつもりはありません。

というよりは、

「どちらも『できる自分』で居ようとしている点では同じ」

だと考えます。

仕事ができる自分、勉強ができる自分、
あるいは人当たりの良い自分や異性にモテる自分。

そういった自分で居ようとすること自体が、

「力み」

を生みだすのです。

おそらくほとんどの場合、
最初はそれでいいのです。

「仕事ができるようになりたい」

「勉強ができるようになりたい」

「人気者になりたい」

そう思った初めのうちは、
たいていそれに近い結果が得られます。

ところがそれを続けているうちに、
うまくいかなくなってくる。

誰もが経験があるのではないでしょうか?

仕事の成果を求めれば求めるほどに、
家族との関係が悪くなったり、
身体をこわしてしまったり。

人間関係を良くしようと空気を読めば読むほどに、
自分自身がそこに居辛さを感じてしまったり。

「できる自分」で居続けようとすればするほど、
理想の自分からは離れて行ってしまうのです。

これは武術の修練をしていると、
常々感じさせられます。

ある瞬間にうまく技が掛かり、
良い感覚を感じられたとします。

ところがその感覚をもっと明確に感じようと技を繰り返すほどに、
その感覚は私の手をすり抜けていくのです。

なぜ上手くやろうとすればするほど、
思い通りにできなくなってくるのか。

どうすれば、
修練を上達に結び付けられるのか。

これは武術の修練を十数年続けている中で、
常々考えされられてきた問題でした。

その問題に対する一つの答えが、

「『できる自分』で居ることをやめる」

ということなのです。

これは本当に不思議だと思うのですが、
「できない自分」を受け入れた時に、
本当に肩の力が抜けます。

それは、

「できない自分」「できる自分」

という相対的な判断の世界から抜け出すということ。

別の言い方をすれば、

「視点を変える」

ということですね。

視点が変わることで初めて、
自分が自分に要求することが変わります。

頑張ってもうまくいかない時には、
うまくいかないやり方を自分に対して要求しているものなのです。

「『できる自分』で居ることをやめる

ということは、
それをやめるということ。

うまくいかないやり方を要求することをやめるから、
結果としてうまくいくようになるのです。

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「動かす自分」と「動かされる自分」を分ける

こんにちは、ワタルです。

今日も私が最近修練で意識していることについて書きます。

そのためにまずは、
昨年の「やめる」という修練をしたことに始まる、
私の個人的な修練テーマの変遷を見ていきます。

自分の今行っている行為をやめる

⇒変化に対する抵抗をやめる

⇒地面に対する抵抗をやめる

⇒転がす・転がる

⇒「できる自分」で居ようとすることをやめる

⇒「動かす自分」と「動かされる自分」を分ける

⇒「動かされる自分」が動こうとすることをやめる

前回の記事ではこの中の、

「地面に対する抵抗をやめる」

ということについて書きました。

昨年末には、

「変化に対する抵抗をやめる」

という記事も書いています。

そして今回書きたいのが、

「『動かす自分』と『動かされる自分』を分ける」

ということについてです。

$~脱力の極意を求めて~-あやつり人形

脱力修練において難しい点は何と言っても、

「力を抜いて力を出す」

というところです。

ここが実感として理解も納得もできない。

師範からは、

「何もしなければいいんだよ」

と言われるものの、
何もしない先には、

「何も起こらない」

という現実しか待っていない。

だからどうしても、
今までのやり方で身体を動かしてしまう。

でもこれはある意味仕方が無いことなのです。

それはなぜかというと、
「動かす自分」「動かされる自分」ヒトカタマリになっているから。

この状態においては当然ですが、
何もしなければ何も起こりません。

(本当はそんなことはないのですが、
とりあえずそういうものだと理解してください)

何かをしようとすれば、
「動かされる自分」までそれをしようとする。

何もしないでいようとすれば、
「動かす自分」まで何もしない。

これでは、

「力を抜いて力を出す」

という矛盾した表現が、
文字通り矛盾のままです。

ですがその矛盾を解決する方法があります。

それが、

「『動かす自分』と『動かされる自分』を分ける」

ということなのです。

これを分けて認識することができれば、

「動かす自分」が思い通りに動き、
「動かされる自分」は何もしない、

ということができる。

つまり、

「力を抜いて力を出す」

ことになるのです。

ですがおそらくこれを読んでも、

「動かす自分???」「動かされる自分???」

という感じではないかと思います。

そこの区別がつかない状態で「分ける」と言われても、
どうしようもないことはよく分かります。

そこでこれらを別の言い方にしてみましょう。

「動かす自分」=「運動性意識」

「動かされる自分」=「感覚性意識」

これではどうでしょうか?

実感としてはともかく、
意味はなんとなくわかるのではないでしょうか。

要は、

「運動に対する認識と感覚に対する認識を分けましょう」

ということなのです。

そのために武颯拳の修練においてはまず、

「身体の感覚に意識を向ける」

ということを繰り返し行います。

それによって「感覚性意識」(=「動かされる自分」)をより明確に認識することが、
「運動性意識」(=「動かす自分」)との区別をつけることになるのです。

そして動いている最中においても、
「感覚性意識」が途切れないように意識する。

自分の身体の中で起きていることに注意を向けながら動くのです。

ですから当然ながら、
最初はゆっくりとしか動けません。

早く動けばいとも簡単に「感覚性意識」が途切れてしまいますから。

ゆっくりとした動きの中で、
少しずつ「運動性意識」「感覚性意識」を分けていく。

それが今、私が行っている「脱力修練」だと考えています。

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地面に対する抵抗をやめる

こんにちは、ワタルです。

今日は久しぶりに、脱力修練について書きます。

武颯塾には年間の修練予定があり、
その月ごとに修練テーマが決まっています。

ちなみに今月のテーマは「基本打突」

脱力による「勁力」を手先まで伝える修練がメインです。

ただそれとは別に、
私個人としての修練テーマもあります。

今の個人テーマの一つが、

「地面に対する抵抗をやめる」

というものです。

最近の修練中によく感じる「脚の力感」

おそらく一般的には脚の力を使うということを、
不合理な運動だと捉えてはいないと思います。

太極拳には「上虚下実」という要訣がありますし、
「強靭な足腰」には確かに強そうな響きがあります。

確かに脚や腰周りには大きな筋肉がついており、
その出力も強大なものです。

ですが脱力による「勁力」を使うにあたって、
腹背や股関節の動きを手足に伝えるためには、
そんな脚の力感は無い方がいい。

「勁力」の源泉はあくまで「重力」「(地面からの)抗力」です。

筋肉の収縮によって発生する「力」はいくら上手く使っても、
「勁力」が身体を通る「抵抗勢力」になってしまう。

今までは上半身の力感が強かったために、
脚にまで意識がまわっていませんでした。

ですがここにきて、
「脚の力み」がとても気になるようになってきました。

やっと「脚の脱力」に取り組めるようになったみたいです。

そこで考えてみました。

「なぜ、脚が力んでいるのか?」

本人が意識しているかどうかに関わらず、
身体の力みには必ず理由があります。

肩コリには肩が凝るための、
腰痛には腰が固まるための理由があるのです。

そして私の脚が力んでいるのはなぜかというと、

「地面に対して不毛な抵抗をしている」

というのが大きな原因だと感じました。

ただ立っているだけ、歩いているだけで、
必要以上に地面を押したり蹴ったりしている。

本当に「天に唾する」のとおなじくらい、
「不毛」としか言いようがないことをしているのです。

だから、それをやめる。

最初は本当に抵抗があります。

今までの自分とは全く異なる感覚になるので、
なじむまでに時間は必要です。

ですが続けていると、
面白い発見がたくさんあります。

私はこれまでの自分の「気持ち」「考え」が、
地面に対する不毛な抵抗を土台にしていたことに気づきました。

もちろん人によって気づくことや起きる変化は異なるでしょうが、
「脚の力み」「心」との間に思ったよりも緊密な関係性があることを、
身体を通して理解してもらえると思います。

「地面に対する抵抗をやめる」

一度、意識されてみてはいかがでしょうか♪

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