前回の記事では、
「やめる」
ということについて書きました。
そしてその為には、
「している」
ことを知る必要があるとも。
今回はその、
「している」
ということについて書いていきます。
また、腕を上げるという動きを例にとります。
この腕を上げるというときに、
あなたは何をしていますか?
「腕の筋肉を使っている」
「肩の筋肉で上げている」
「背中や腰の力で上げている」
たしかにいずれも、
あなたがしていることには違いありません。
筋肉を収縮させて力を出して、
腕を上げる。
この場合、筋肉の収縮が「行為」で、
腕が上がるのが「結果」ですよね。
ですが、
あなたがしていることはそれだけではありません。
というわけで次の質問です。
筋肉を収縮させるときに、
あなたは何をしていますか?
理屈では分かると思います。
脳から筋肉に対して、
神経を介して指令を伝えているのです。
でもこれって、
頭で分かったからといっても、
やめられないですよね?
それを「しない」という選択は出来ます。
そもそも腕を上げようとしなければいいわけですから。
でもそれは、
筋肉を収縮させようとしている脳の指令を感じて、
それを「やめる」ということとは全く違います。
ですが脱力修練においてやめたいのは、
この脳からの指令なのです。
筋肉が収縮するという「結果」を引き起こす、
脳からの指令という「行為」。
それを感じて、認識して、やめる。
今、私たちが師範から求められ取り組んでいるのは、
このようなことなのです。
そしてその為に、
力を抜いて動くことを修練しています。
少なくとも私の認識している範囲においては。
これは言葉を変えれば、
「行為と状態を分ける」
ということを行っているとも言えます。
私たちは身体を動かすときに、
「動かすという行為」と、
「筋肉の収縮という状態」を、
混ぜこぜにして認識しています。
それらの「行為」と「状態」が、
癒着してしまっているのです。
だからこそまずは力を抜いて動けるようになることで、
そこを分ける必要があります。
力み感覚というノイズを極力排除することで、
動かすという「行為」自体をより純粋なものに近づける。
それによって初めて、
やめるべき対象としての、
「している」
ということが分かるのです。
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