「レバレッジ」:接点を動かそうとしない

「レバレッジ」:接点を動かそうとしない

「支点」「合成重心」と書いてきましたが今回は、

「接点」

について書きます。

「接点」とは文字通り接している点、
自分と対象が触れている場所のことです。

対象を動かそうとしたとき、
普通はその対象との「接点」を動かそうとしてしまいます。

多くの場合、対象全体を意識することもなく、
ただ「接点」を押したり引いたり持ち上げたりしてしまう。

でもそれでは、
力の伝達が非常に浅くなってしまうのです。

ではどうすればいいのか?

「支点」や「合成重心」を意識して動いてみればいいのです。

前回、前々回書いたように、
「支点」や「合成重心」を動かそうとしてはいけません。

その時点で「てこ」の原理が働かなくなるから。

「支点」「力点」「作用点」が明確になるから、
「てこ」の原理が働くのです。

流行りの言い方をすれば、
「レバレッジが効く」ということですね。

もちろん実際に対象と自分が動いた時には、
その「絶対位置」は動くのですが、
対象との「相対位置」は動かさないのです。

つまり、相手と結んだ「関係」そのものは変えない。

そして、相手と「関係」を結んでいる最大のポイントが、
「接点」なのです。

ということは「接点」は、
「支点」や「合成重心」形成するためのもので、
そこを動かすものではないのです。

「接点」からの情報で相手を知って、
相手に触れている自分をも知るのです。

ですから例えば手や腕で触れているとすれば、
そこで必要とされているのは、

「運動器」

としての手や腕ではなく、

「感覚器」

としてのそれなのです。

手や腕を「運動器」ではなく「感覚器」として扱う。

そのために必要なことは、
繰り返しになりますが、

「脱力」

なのです。

「脱力」して相手に触れることで、
相手との「接点」から相手と自分を認識するのです。

それは言い方を変えれば、
「支点」「力点」「作用点」を明確にすることであり、
「合成重心」を認識することなのです。

それが武術であれば、
自分が動いたことが即ち技になりますし、

整体やマッサージであれば、
表面は痛くないのに深部にまで力が届く施術になるのです。

スポーツにおいても施術においても、
本当に上手な人はこれが出来ています。

顕在意識で認識しているかどうかはともかくとして、
「レバレッジ」の効いた動きをしているのです。

ただこれは、
頭で理解したからといってすぐにできるものでもありません。

理解したことを実践して感じ取り、
それを反復して身体に染み込ませなければ使えないのです。

一生懸命取り組んでいることがあるのに、
思うような結果が出ないという方。

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