脱力する修練を毎日続けていると、
わかっていたつもりの物事が、
実はわかっていなかったということに気づくことが数多くあります。
「頭では理解しているけど…」
というものから、
「それは常に意識し続けているはずなのに…」
というものまで色々と気づかされるのです。
そんな脱力修練の中で最近気づいたことの一つが、
「上虚下実」
といわれるもの。
太極拳というか中国拳法というか、
そっちの世界ではメジャーな要訣の一つですね。
他にも、
「含胸抜背」
「沈肩墜肘」
「立身中正」
などが有名どころだと思います。
要訣はいずれも、
「正しい姿勢や動作においては、人体はこのようになるもの」
という基準であり、
まずはそこに身体を合わせることが大切な修練の一つです。
そんな要訣の一つである「上虚下実」。
肩や胸、腹背の力を抜けば、
身体の重さは自然と下半身から地面へと伝わります。
それは、武颯塾に入門した当初から指導されていることであり、
10年以上修練を続けている身としては、
理解しているだけでなく日頃から実践しているつもりでした。
ところが。
私が行っていたのは、
「似て非なるもの」
だったのです。
脱力して「上虚下実」の状態になり、
股関節や腹背など身体の中心から動こうとはしていたのです。
少なくとも修練の最中は。
しかし実際に行っていたことは、
中心から上半身を動かそうとしていたのです。
せっかく脱力して中心を意識しても、
動き出すと上半身を主体に使ってしまう。
しかもそれが当たり前すぎて、
間違っているということにさえ気づけなかったのです。
そうではなく、
身体の中心が動くことでまず脱力した脚に動きが伝わる。
その動きが地面からの抗力を生み、
脱力した上半身へと伝わっていく。
この順番だからこそ、
「力を抜いて力を出す」
ことが可能なのです。
力を抜いた腕は、
同じく力を抜いた脚を通して「地面」が動かしているのです。
「上虚下実」
要訣一つをとってみても、修練をすればするほど、
分からないことばかりなのだと思い知らされます。
謙虚に修練をすることと、
自身を持って伝えていくこと。
この両方が必要なのだと感じている今日この頃です。
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「脱力」について興味のある方はこちらをご覧ください
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